独裁者の空疎な強がり

2020年9月21日 06時34分
 ひと癖もふた癖もありそうな老人二人が向かい合っていた。ともに二十年以上にわたり独裁体制を敷くプーチン・ロシア大統領とルカシェンコ・ベラルーシ大統領である。
 ロシア・黒海沿岸の保養地ソチで十四日に行われた首脳会談。「私は事態をほほ笑ましく思って見てますよ。週末はデモがあるが、平日は普段通りだ。週末は人々がぶらつけるよう首都の一部地域を解放しています」
 退陣を要求する市民デモにさらされるルカシェンコ氏の精いっぱいの強がりである。その実、プーチン氏に助けを乞いに来た。謝意を連発しやたらと低姿勢だ。ロシアとベラルーシの連合国家のトップとして君臨するという野望に燃えた昔日の面影はなかった。
 一方のプーチン氏にとっては、扱いにくいくせ者のルカシェンコ氏が観念し、自分の懐に飛び込んできた格好だ。これでベラルーシに傀儡(かいらい)政権をつくったも同然である。
 だが、国民に見放されたルカシェンコ氏を支えても先が見えている。ベラルーシ国民はロシアに親近感を抱いている。その好感情が反感に一転するリスクをプーチン氏は背負ったことになる。
 それでもルカシェンコ氏を支えるのは、大衆蜂起によるルカシェンコ政権の崩壊を許せば、「次はわが身」という危惧からだろうか。力関係がはっきりした二人は、一蓮托生(いちれんたくしょう)にもみえる。 (青木睦)

関連キーワード


おすすめ情報