コロナで広がる自転車通勤に課題山積 損害賠償保険、駐輪場は?

2020年9月22日 05時50分

勤電車の密を避けるため会社が認めた自転車通勤をする寺田理恵子さん=東京都内で

 新型コロナウイルスの感染を避けるため広がる自転車通勤。だが、インフラや事故リスク以外にも問題は山積する。課題を乗り越えなければ、利用者の増加に「急ブレーキ」がかかりかねない。(嶋村光希子、原田晋也)

◆義務化

 自転車通勤を巡っては損害賠償保険への加入が大きな課題だ。事故を起こし歩行者らにけがを負わせれば、経済的な負担を迫られたり、被害者が十分な補償を得られない懸念がある。
 東京都では4月から自転車利用者の保険加入が義務化された。月数百円で対人事故の際の賠償補償、自身がけがをした場合の保険金を受けられる。だが、本紙が取材した自転車通勤者には保険の存在を知らず、未加入の人もいた。
 NPO法人「自転車活用推進研究会」(東京)の小林成基理事長は「企業が社員に保険加入を促し証書の提出を求めるなど、一定のルールを整備するべきだ」と話す。
 これに関しては通勤手当との関係も整理が必要になる。IT企業のテックファームホールディングス(東京)は7月から自転車通勤を導入。自転車通勤者には、通勤手当を出さない代わりに、出勤日1日あたり200円を支給。保険料などにあててもらうことにした。
 駐輪場も不足する。都心では駐輪場が整備されておらず、用意している企業も多くない。図書館の駐輪場や路上にとめるケースも散見されるのが実態だ。

◆先進例

 一方でさまざまな課題をクリアし、自転車通勤を認める企業も出てきた。
 「満員電車に乗らなくなり感染への不安が薄れた。仕事前の運動で気持ちを切り替えられる」。健康関連企業の保健同人社(東京)で4月から自転車通勤する寺田理恵子さん(39)は、港区の自宅から千代田区一番町にあるオフィスまでの6キロを約30分で走る。
 同社は4月から正式に自転車通勤を認めた。保険の加入が条件で、通勤手当は引き続き支給し保険料などに充ててもらっている。駐輪場は社屋内の駐車場を活用。現在は社員約90人の1割にあたる9人が制度を利用する。

◆特需

 自転車人気はコロナ禍で経済全般が厳しい中で、関連企業に特需をもたらしている。自転車販売大手のあさひの株価は急騰し8月24日には一時、1989円と株式分割後の上場来高値を9年ぶりに更新。自転車部品大手シマノの株価も8月4日に上場来高値を更新した。シマノの時価総額は一時2兆円を超え、JR西日本を上回る場面も。「電車より、自転車」という自転車需要の世界的な高まりを反映した。
 自転車のシェアリングサービスも好調で、NTTドコモの「ドコモ・バイクシェア」は新規会員数が四月以降、前月比2~6割増で推移している。
 自転車通勤者には「満員電車は感染の不安があったが、自転車通勤はストレスフリーだ」(三鷹市男性)などの声が多く、自転車通勤の「快走」が続くかは、環境整備が進むかどうかにかかっている。

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