大阪都住民投票 再実施の意義周知せよ

2020年9月22日 07時45分
 大阪市廃止などからなる「大阪都構想」の是非を市民に問う住民投票が十一月に行われる。五年前に否決されており、コロナ禍の今、あえて再審判を求める意義が十分に周知されているだろうか。
 「都構想」の最大の目的は、二重行政の解消だ。人口も税収も多く、道府県に準じた権限を持つ政令市が県都だと、双方が似たハコモノを造ろうとしてしまう。
 愛知県と名古屋市、静岡県と静岡市、新潟県と新潟市でも「一体化」を模索する動きがあったが、大阪以外は知事と市長の確執などで議論は停滞している。
 大阪都構想の協定書(設計図)は先日、大阪府議会と大阪市議会で、相次ぎ可決された。内容は「大阪市を廃止して四つの特別区に再編」「各区に公選の区長や区議会を置く」「大阪万博がある二〇二五年に移行する」−などだ。
 都構想は一五年に一度住民投票にかかったが僅差で否決され、当時の橋下徹市長が政界を引退。都構想は終わったともいわれた。
 しかし同年、大阪維新の会が「都構想への再挑戦」を公約。同会の松井一郎知事が再選され、吉村洋文市長が初当選した。一九年には松井氏が市長、吉村氏が知事にクロス出馬して当選。同日の府議選と市議選でも維新が議席を伸ばした。
 直後、都構想に反対だった公明は賛成に回った。「クロス選」で推した候補が松井、吉村両氏に完敗し、維新との関係回復を望んだためとみられる。今回の採決では維新と公明が賛成、自民と共産は反対だったが、自民は党総裁の菅義偉首相が維新と都構想に好意的とされ、大阪府連とねじれている。来るべき総選挙もにらみ、各党の姿勢には隔たりがある。
 住民投票は十月十二日告示、十一月一日投開票に決まったが、都構想では、コロナ禍の影響があまり考慮されていない。感染拡大で財政が悪化する中、都構想は初期費用だけで二百四十一億円を要する。府と市はコロナ禍によるその後の税収減を反映した試算もしていない。
 前回住民投票の前に三十九回行われた住民説明会が、今回はコロナ禍もあって八回程度にとどまる見通しだ。この状況下で、一度否決された構想を問い直す理由の説明機会が乏しくはないか。
 メディアの世論調査では「賛成」が優勢のようだが「大阪市の廃止」という地方自治の一大事が、住民の十分な理解なしで決せられることのないよう望む。

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