大嘗祭の特産品、農林水産物調達に430万円 儀式後、障害者施設で4割再利用

2020年9月23日 05時50分
 天皇陛下の即位に伴い昨年11月に行われた重要祭祀さいし大嘗祭だいじょうさい」のため、宮内庁が全国から購入した農林水産物の「庭積机代物にわづみのつくえしろもの」と「献物」の調達費は約430万円で、儀式後に4割にあたる170万円相当の食物が障害者施設の給食用食材として初めて再利用されたことが、本紙の情報公開請求で開示された資料から分かった。(編集委員・阿部博行)
 宮内庁は30年前の平成の大嘗祭では地中に埋めて自然に返す「埋納まいのう」と呼ぶ方法ですべてを処分したが、今回は昨年10月に施行された食品ロス削減推進法の趣旨などを踏まえて有効利用を図った。それでも衛生面のリスク回避の事情などから、高級食材を含む260万円相当を処分しており、将来的な課題も残した。
 庭積机代物は、大嘗祭の舞台となる大嘗宮の一角に供えられた。宮内庁は農協などから優秀な生産者の推薦を受け、全都道府県の米と25都府県のアワを少量ずつと、各都道府県から5品以内で特産品を購入。1品につき包装や輸送などに伴う経費として一律3000円を加算し、全体の調達費は304万円だった。
 献物は儀式後に参列者を招待する祝宴「大饗だいきょうの儀」で展示された。大嘗祭の神事に使う米粟べいそくの収穫地となる「悠紀ゆき地方」と「主基すき地方」に選ばれた栃木県と京都府から、特産品を15品ずつ取り寄せた。調達費は125万円だった。
 これらの中には京都府の「アカアマダイ」(60尾で48万6000円)や、石川県の「輪島海女採あまどりアワビ」(20個で20万円)などの高級食材もあった。
 宮内庁は再利用に向けて食中毒のリスクや鮮度、提供先施設のニーズなどを考慮。対象を米、豆類、根菜類、茶や干しシイタケ、かつお節、スルメなどの乾物、柿や梨など39品目に絞り、さらに個別に安全に食べられる状態の物を見定めた。調達費ベースで170万円相当だった。
 提供先は、国費で購入した物を民間施設へ無償で譲り渡すには法律上の制約があるため、あらかじめ厚生労働省と相談して国の関係施設の紹介を受けた。輸送距離なども勘案し、埼玉県所沢市の国立障害者リハビリテーションセンターに一括提供した。
 センターでは届いた食物を入院患者と施設利用者の給食の調理に活用。総務課の担当者は「全国各地の生産者が丹精込めた名産品を提供していただき、感謝している」と話した。

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧