コロナ禍の高校選手にアピールの場を プロとアマ連携、トライアウトなど開催

2020年9月23日 05時50分

合同練習会に参加した高校生=8月29日、甲子園球場で

 新型コロナウイルスの収束が見通せない中、スポーツ界は少しずつ大会が再開している。この夏に全国高校総合体育大会(インターハイ)などプレーをアピールする場が失われ、進路に不安を覚える高校3年生についても、強豪大学やプロチームの指導者、スカウトらをつなぐ場を設ける動きが始まっている。(対比地貴浩、平松功嗣)

◆プロ志望高校生が甲子園、東京ドームに

合同練習会で、スカウトが見守る中、練習する高校生=甲子園球場で

 野球では、プロを目指す3年生を対象とする「プロ志望高校生合同練習会」が8、9月に甲子園球場と東京ドームで開催され、計118人が参加した。
 日本高校野球連盟とプロ野球を統括する日本野球機構(NPB)の共催。スカウトの前で高校生にプレーする機会を提供しようと、特例的に実施。プロとアマとの間には何かと壁のある球界では、異例の取り組みとして注目を集めた。
 多くのスカウトが客席から熱視線を送る中、選手はシート打撃などで汗を流した。群馬・高崎健康福祉大高崎の下慎之介投手は打者7人に2安打無失点。夏の甲子園交流試合では4回3失点で「まずいと思った」というが、「今回は思うような投球ができた」と挽回した。甲子園出場歴のない長野・上田西の高寺望夢内野手は6打数5安打で「力を出し切れた」。全国区でない選手にも光を当てる場となった。

◆「大事なことはプロ、アマの協力」

 視察機会が激減しているスカウト側にとっても貴重な時間に。巨人の榑松伸介スカウト部次長は「新たにリストに加えた選手がいた」と満足げ。日本ハムの大渕隆スカウト部長は「大事なのはプロとアマが協力したこと」。初の試みは球児、スカウトの双方に収穫があったようだ。
 ハンドボールでは、今季から日本リーグに参戦しているクラブチーム「ジークスター東京」が、8月上旬に東京都内で、高校生が大学関係者の前でプレーして実力を披露する「トライアウト」の場を設けた。チーム運営会社の大賀智也社長は「いろんな大学の監督らから『選手を見る機会がない』と聞いて、何かできないかと考えていた」と振り返る。

◆感染防ぐために慎重に準備

 感染を防ぐために広い体育館を確保し、参加者の体調管理や消毒などにも気を使った。「(体育館などでの)アリーナスポーツは、まだほとんど始まっていなかった」(大賀社長)という中で、慎重に準備して開催にこぎ着けた。

トライアウトで、信太弘樹選手(右から3人目)から指導を受ける高校生=東京都内で(ジークスター東京提供)

 トライアウトには東北から九州までの高校生が応募し、19人が参加して13校の大学関係者の前でアピールした。日本代表候補の信太弘樹選手ら所属選手もアドバイスを送った。高校生からは「大学でハンドボールをする道を迷っている中でありがたい」などと声が上がり、大学との間で話が進んでいる例もあるという。
 コロナ禍で進路の問題に直面した高校3年生を巡っては、当初は「ラグビーを止めるな」などのタイトルで試合や練習の映像をインターネット上に投稿し、大学やプロチームの関係者に紹介する動きが広がった。プロ野球などで観客を入れた試合が始まると、今回の野球やハンドボールのような試みも始まった。
 全国高校体育連盟では「都道府県ごと、競技ごとにインターハイの代替大会や全国大会が行われている」とし、大会が少しずつ始まっている現状を説明。進路に不安を抱える高校生を支援する動きも、加速している。

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