真偽が錯綜、政治広告のあり方は… 悩めるプラットフォーマー

2020年9月23日 05時50分

プラットフォーマーの誤情報への対策

 <2020米大統領選・ネットの攻防(下)>
 「シリコンバレーのボスは、何百万人もの有権者が意思決定を下す最も大切な時期に大統領を黙らせようとしている」。トランプ陣営は今月3日、大統領選の投票1週間前から新たな政治広告を禁じるフェイスブック(FB)を批判した。
 対立候補のネガティブキャンペーンが一般的な米国で政治広告は重要だが、ツイッターは昨年秋、誤った情報や情報操作に使われやすいとして、政治広告を禁じた。FBのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「言論の自由を信じる」と政治広告を擁護してきたが、投票直前に誤った情報が流れたら、訂正する時間が足りないとして、結局は方針転換を迫られた。
 新型コロナウイルス感染拡大の渦中でネットの影響力が高まる大統領選の投票まで1カ月余。4年前に続き、ロシアなど外国勢力が混乱を狙って意図的に偽情報を広げる選挙介入の兆候が見られるなど、不安材料は増える一方だ。ネットの基盤となるサービスを提供するプラットフォーマー企業の悩みは深い。

◆偽の情報、拡散防止に各社が躍起

フェイスブックのザッカーバーグCEO=共同

 ツイッターやFBは、政府機関と定期会合を重ね、選挙介入や陣営からの情報流出など、想定されるシナリオの予行演習を実施。偽情報が拡散するのを防ぐ対策を矢継ぎ早に打ち出す。
 ツイッターは、トランプ大統領の投稿への対応を厳格化。郵便で投票した上で、投票所にも行くよう促すツイートに「二重投票は違法」と警告のメッセージを表示した。また選挙後に候補者が早まって勝利宣言すれば、注意を促すフラグを付け、報道機関のページに誘導する。コロナの影響で郵便投票が大幅に増えるため、集計に時間がかかり、投開票日には結果が判明しない公算が大きくなっているためだ。
 またグーグルも検索の一部機能を制限する。グーグル幹部は「人々は今回の選挙では強い意見を持っている。コロナの影響も踏まえ、保守的に対処すべきだと判断した」と説明。検索で入力されるキーワードを予測して提案する「オートコンプリート機能」で、特定の候補者や政党への反対などの主張を含む検索を行った場合、予測を提供するのをやめる。
 プラットフォーマー各社は、仮に誤った情報で選挙が混乱したとしても、事前に打てる手は打ったことをアピールし、批判を回避するのに躍起だ。
 ただザッカーバーグ氏が「党派色の強いコンテンツがより多くの人々を引きつけている」と米メディアに語ったように、ネットには政治的分断をあおるような投稿があふれる。仮に対策がうまくいかなければ、今や情報インフラとなった各社の評判だけでなく、選挙の信頼をも揺るがしかねない。(ワシントン・白石亘)

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