一緒にいると楽しくて…望むのは「結婚できる自由」<かぞくのカタチ㊥>

2020年9月24日 06時00分

昨年、群馬県内の神社で「フォトウエディング」をした間々田久渚さん㊧と田中沙織さん=本人提供

 見た目は男女だけど、戸籍は女性同士。間々田 ひささん(29)と田中沙織さん(29)は、群馬県内で一緒に暮らして5年になる。
 「結婚して何年?」と聞かれることも多いが、今は法律上、婚姻できない。その度に笑って受け流すか、一つ一つ説明することに疲れている。
 久渚さんは、ウェブデザイナーをしながら、前橋市の支援団体「ハレルワ」の代表として、地方の性的少数者の居場所づくりや交流を進めている。出生時の性別とは異なる性を生きるトランスジェンダーだ。
 「女の子」であることに違和感を持ったのは、小学校入学前。中学高校では「自分は男性として女性が好きなのか、同性愛なのか、確信が持てなかった」。
 群馬大への進学前に親に打ち明け、入学式はメンズスーツで臨んだ。男性として生きることを決めた。そして、大学2年の時、同学年だった沙織さんと秋祭りに出かけ、急接近した。

◆「性別はどうでもいい」

 沙織さんは、それまで久渚さんを恋愛対象としてではなく、「ボーイッシュな女の子」という印象で接していた。ところが「祭りの雑踏の中で、かっこいいと思った。輝いて見えた」と笑う。
 デート中に、会員制交流サイト(SNS)のプロフィル欄をあらためて読み、久渚さんが戸籍上は女性で、男性として生きている「トランス男性」だと知った。「頭の中を整理するのが大変だった。『私は今、男の子とデートしているの?』って…」。その後数日、いろいろと考えた。でも一緒にいると楽しく、「性別はどうでもいい」と思えた。交際が始まった。

◆結婚式は「その時」のために

 「彼女ができた」。久渚さんが家族に紹介すると、しばらくの間、親は「お友達でしょ」と言い直してきた。大学卒業後、お互いの仕事の休みを合わせるのが難しくなり同居。2人で支え合って生活する姿を見て、今では関係を認め、「一緒に頑張りなさいね」と言ってくれるようになった。
 周囲が結婚し始めた25歳の時、写真だけの「フォトウエディング」をした。昨年も、県内の神社で和装で2回目の写真を撮った。「性別に関係なく、結婚できる自由を私たちにも」と願い、結婚できた時のために式はまだしていない。

◆手術しなくても変えられるように

 「(性別適合)手術をすれば、今は戸籍も変えられるんでしょ」と、軽い感じで言う人はいる。久渚さんは、大学時代からホルモン治療をし、男性として社会生活を送ることができているため、「健康リスクを冒してまで手術はしたくない」と、今は思う。
 欧州では性別変更に手術が必要という要件などを撤廃する国も相次ぐが、日本では実現のめどは立っていない。「体を傷つけなくても、戸籍の性別を変えられるように」。2人は願う。(奥野斐)

 性別変更と手術要件 性同一性障害特例法では、戸籍上の性別変更に①20歳以上 ②婚姻をしていない ③未成年の子がいない ④生殖機能がないーなどを要件にしており、性別適合手術が必要になる。国際団体などはこの点を人権侵害とし、見直しを求めている。

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧