つなげた、蘇生へのパス 久喜北陽高サッカー部員ら 倒れた仲間をAEDなどで救命

2020年9月24日 07時10分

荒井和巳署長(右)から感謝状を贈られる佐藤良輔教諭

 久喜北陽高校(久喜市久喜本)のサッカー部員らが7月、部活中に倒れた仲間に自動体外式除細動器(AED)で心肺蘇生を行うなどして命を救った。毎年の救急救命講習など、万一を想定した備えが“ファインプレー”につながった。(杉原雄介)
 突然の出来事だった。七月十九日午前十時ごろ、同校駐車場で練習をしていたサッカー部の男子生徒が突然倒れた。脈や呼吸が止まっており、状況をのみ込めない部員らに動揺が広がった。
 「とにかく何とかしなきゃ」と顧問の佐藤良輔教諭(29)が救命処置を指揮。部員やマネジャーら三十人ほどが協力して、近くの事務室玄関にあったAEDを持ってきたり、校外の道路沿いに立って救急車を現場まで誘導したりした。佐藤教諭がAED使用や心臓マッサージにあたり、素早い対応が功を奏して、約五分後に救急隊が到着した時には生徒の脈や呼吸が回復。生徒は八月末から学校に復帰し、後遺症もないという。
 同校では毎年、長時間の部活動で熱中症が起きやすい夏休み前に、運動部のマネジャーらを対象として、AEDの使い方を学ぶ救急救命講習を開いている。昨年参加したサッカー部マネジャーの長谷部凜(りん)さん(三年)は、現場で佐藤教諭からの指示の把握に努め「AEDの知識がなかったら、パニックになっていたと思う。救命処置の流れを知っていてよかった」と講習の大切さを語る。
 部員たちがAEDの設置場所を知っていたことも、迅速な対応につながった。マネジャーの矢野満優子さん(同)は「保健体育の授業で先生からAEDの場所を問われたりしていたので、日ごろからみんな把握していた」と振り返る。
 久喜消防署は同部に感謝状を贈った。荒井和巳署長は「とっさの判断で行動を起こすのは、なかなかできないこと。勇気とチームワークに敬意を表したい」とたたえた。
 佐藤教諭は普段から、サッカーを通じて「周囲を見ながら、自分が何をやるべきかの判断力を身に付けてほしい」との思いで指導してきたという。「生徒たちは救急車を現場まで誘導するなど、自発的に動いてくれた。いざという時にやってくれて誇らしい」と笑顔を見せた。

サッカー部員らが迅速な処置で仲間の命を救った久喜北陽高校=いずれも久喜市で


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