浜松・舘山寺の温泉街 パチンコ遊べる観光案内所 全国から愛好家「レトロさ強みに魅力発信」

2020年9月25日 07時16分

「観光案内所を舘山寺活性化の拠点に」と話す石塚佑太さん(右)と新村浩利さん=浜松市西区舘山寺町で

 浜松市西区舘山寺町の温泉街・門前通りには、昭和や平成の懐かしいパチンコが並ぶ一風変わった観光案内所がある。四年前に開設されたが、新たに街の活性化に向けたイベントを企画する拠点となった。案内所に集まる三十、四十代の地元有志たちは「パチンコのレトロさも強みにして、海も山も遊園地もある舘山寺の魅力を発信したい」と声をそろえる。(高島碧)
 「何かな、ここ」。午後七時、日帰りの食事を終えた夫婦が建物をのぞき込んだ。入り口の「観光案内所」の文字の下に「なつかしパチンコ」と書かれている。建物内をうかがいつつ中に入った浜松市中区の今井康博さん(79)は、液晶の代わりにクギや風車が付いたパチンコで遊び始めた。「五十年ぶり。学生時代を思い出すな」
 観光案内所は、一九五七年に門前通りで開業した「パチンコ マルマツ」の一部。浜名商工会の補助金を受けて改修し、二〇一六年に舘山寺の飲食店や自治会などでつくる舘山寺門前通り振興会が開設した。温泉街入り口にあるパチンコ店の立地が案内所に適していた。
 受付のカウンター奥には、板張りの床の上に二十二台のパチンコ台が並ぶ。最も古いパチンコ台は一九八七年の「キングタンク」。Vゾーンが開いている時に玉が入ると当たりになる「羽根物」を中心にそろえる。マルマツを所有する新村浩利さん(73)によると、ネットで情報を知った全国の愛好家が土日は日に五、六組訪れる。景品は無く、三十分五百円で打ち放題だ。
 ただ、ボランティアでスタッフを募ったが集まらず、開所一カ月ほどで新村さんが自ら案内所を運営することに。「お盆や正月はバイトを雇ったけれど、朝から晩まで一人で案内所にいるのはしんどかった」と苦笑いする。
 転機は昨年十月、若手有志が門前広場で開いた音楽イベント「浜名湖かんざんじフェス」。地元高校生ら十三団体が参加し、計三千五百人が来場した。振興会の会員の携帯電話販売業石塚佑太さん(36)が「若い人がこんなに来るなんて。目新しいイベントをどんどん打ち出して、行きたくなる舘山寺にしたい」と奮い立った。
 振興会の若手と話し合う拠点として今年七月に観光案内所の運営を受け継ぎ、土日は開けて観光客に対応している。「来年十月には舘山寺の他の施設と協力して大規模イベントを計画している。月一回、子どもが集まれる行事も準備している」と話す。ウェブを活用した発信も強化する。
 「温泉に入りに来た宿泊客が、このパチンコで時間をつぶして遊んでもらえたらうれしい」と、新村さんも期待を込めた。

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