仁左衛門「生で見ていただけるのが幸せ」 7カ月ぶり舞台に意欲 歌舞伎座・十月大歌舞伎

2020年9月25日 07時20分
 新型コロナウイルスの影響による入場制限は緩和されたが、東京・歌舞伎座は「十月大歌舞伎」(二〜二十七日)を八、九月と同様、定員(千八百余)の半分以下の入場に抑え、四部制で開催する。それでも、観客を前にした舞台は二月以来となる片岡仁左衛門(76)は「やっと舞台に立てる。お客さまに、来てよかったと思っていただけるよう、つとめたい」と意欲を見せる。 (山岸利行)
 「三月大歌舞伎」が中止となり、出演予定だった「新薄雪物語(しんうすゆきものがたり)」を無観客で収録したが、「役者は生で見ていただけるのが幸せ」と語る仁左衛門。
 自粛期間中は、高低差のあるコースを毎日一時間ほど散歩して足腰を鍛え、弁慶、富樫、義経といった「勧進帳」の登場人物のせりふを読んで、太い、細い、かたい、やわらかいといった声の違いを練習していたという。「こちらは元気なのに、いつ舞台に立てるのか」と気をもむ日が続き、「待ちに待ってました。浮き浮きしています」と心の内を明かす。
 「十月大歌舞伎」では、第三部「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」の梶原平三景時を演じる。舞台は鎌倉・鶴ケ岡八幡宮。景時ら平家方の武将が参拝に訪れたところへ、源氏方の六郎太夫と娘の梢(こずえ)が刀を買ってもらおうとやってくる。刀の目利きを頼まれた景時は名刀と鑑定するが、実際の斬れ味を試すため二人の罪人を重ねて斬る「二つ胴」が行われることに。ところが、罪人が一人足りず、六郎太夫が自らの体を差し出す。そして、景時が刀を振り下ろすと…。
 平家に仕える身でありながら、源氏にも心を寄せる景時は情に厚く、さっそうとした武将として描かれる。ほぼ十六年ぶりに演じる景時について「華やかな中にも、ちょっとさみしさも持っている」と人物像を解釈。「目利きをする時のせりふの言い方が大切で、そうしたところで見せ場をつくりたい」と話した。ほかにも山場があり、景時の華麗な衣装も見どころの一つだが、「人間味や優しさが飛んでしまってはいけない」と内面の表現にも気を配る。
 感染防止のため、大名や従者などの人数を減らしたり、通常の上演時間の一部をカットしたりと「コロナシフト」での舞台となるが、「今の私を生で見ていただきたい」とライブ感を強調。体力的に落ちているところもあるかもしれないが、せりふ回しで伸びている部分があるかも、と自身の変化を口にする。コロナ禍で舞台の配信も珍しくなくなっているが、「(配信は)空気が伝わらない」と言う。
 久しぶりの舞台を前に「緊張感はあります」と言うが、「この状況下で見に来てくださるお客さまに、幕が下りた時、『よかったね』と思っていただけたら」と話した。

◆十月大歌舞伎

 ◇第一部(午前11時開演)「京人形」中村芝翫(しかん)、市川門之助、中村七之助ら
 ◇第二部(午後1時30分開演)「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 角力場(すもうば)」松本白鸚、市川高麗蔵、中村勘九郎ら
 ◇第三部(午後4時20分開演)「梶原平三誉石切 鶴ケ岡八幡社頭の場」片岡仁左衛門、片岡孝太郎、坂東彌十郎、中村歌六ら
 ◇第四部(午後7時30分開演)「口上」「楊貴妃」坂東玉三郎
 8、19日は休演。チケットホン松竹=(電)0570・000・489。

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