五輪簡素化で数百億円の削減どまり 追加費用は3000億円超に

2020年9月26日 05時50分
 来年夏の東京五輪・パラリンピックで、大会組織委員会が運営方法の簡素化によって削減を見込むのが数百億円にとどまることが、大会関係者への取材で分かった。一方、延期に伴って発生する追加経費は3000億円を超える見通し。これにより、簡素化効果を差し引いても全体で1兆5000億円超の支出が不可避となりそうだ。(岡本太、原田遼)

◆大会組織委とIOC、簡素化52項目で合意

 組織委は25日、国際オリンピック委員会(IOC)とオンラインで協議し、簡素化する内容を52項目とすることで合意した。組織委は簡素化による経費削減、延期に伴う追加経費を精査し、これらを反映した新たな大会予算を年内に公表する方針。
 組織委が同日に明らかにした簡素化の内容によると、来日する各国のスポーツ競技団体幹部ら大会関係者の人数を10~15%減らし、専用バス台数や飲食サービスを抑制する。聖火リレーは予定していた121日間の日程を維持するものの、車両やスタッフを削減する。
 選手団が選手村に到着する際の入村式、IOC関係者を招いた式典もとりやめる。競技会場では派手な演出を控え、看板などの装飾は30~40%程度減らす。

◆延期決定前、開催費用1兆3500億円

 大会の開催経費は延期決定前の時点で1兆3500億円とされていた。大会関係者によると、簡素化による削減額は数百億円にとどまるという。
 一方、延期により必要となる3000億円超の追加経費は、競技会場など大会施設関連費や新型コロナウイルスの感染防止対策費、組織委の人件費、事務所費など。
 施設については仮設スタンドや放送設備などの維持・再整備費、施設側への補償料などが見込まれる。また新型コロナの検査・医療態勢を巡っては、政府が検討している対策の中身によって経費がさらに膨らむ可能性もある。
 大会経費は国、東京都、組織委が負担するが、追加経費の分担は未定。IOCが一部を負担する意思を示しているものの、大部分は都など日本側が負担するとみられる。

◆簡素化案には削減効果薄く、中身もあやふやな項目も

 東京五輪・パラリンピックの簡素化を巡り、52項目の経費を圧縮することで合意した大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)。25日の記者会見で両者は合意の成果をアピールしたが、海外メディアが効果を疑問視する一幕もあった。
 組織委の森喜朗会長は大会関係者の削減の交渉について「要望を了承してくれない団体もあったが、かなりドラスチックにやった」と胸を張った。オンラインで参加したIOCのジョン・コーツ調整委員長も「ポストコロナにふさわしい、新たな大会になることを確信している。森会長たちのおかげだ」と持ち上げた。
 簡素化案では大会関係者数などで具体的な数値を挙げる項目がある一方、「入村式をやめる」「ファイヤー(炎)やスモーク(煙)を活用した華美な演出の見送り」「関連イベントの規模見直し」など削減効果が薄そうなものや、中身があやふやなものも含まれる。
 会見では海外メディアから「マイナーな項目ばかりだ」との指摘もあった。森会長は「IOCと放送局で契約済みのものもある。そこには踏み込めなかった」と渋い顔。「もっと大きな変更はあるのか」との質問も出た。森会長は今後も検討を続ける姿勢を示した。
 国民の理解については「削減が『これっぽっちか』と思うか、『よくやっている』と思うかは個人の立場による」と評価を委ねた。

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