<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(5)無防備だった地下設備

2020年9月26日 07時52分

大津波で建屋地下は浸水。電源を失う原因となった=東京電力提供

 東京電力福島第一原発(イチエフ)を襲った大津波は、やすやすと防潮堤を乗り越え、海抜約十メートルの敷地も超え、1〜4号機の建屋は最大五・五メートルの高さまで浸水した。
 海水は出入り口や吸気口などから建屋に入り、地下階の電源盤や非常用ディーゼル発電機は水没。地上にあった6号機の空冷式発電機一基は生き残ったが、1〜4号機は遠く離れ、各所に電力を送る電源盤が使えなくては、手の打ちようがなかった。
 原子炉周辺は海抜約四十メートルの高台を約三十メートル削って敷地造成をした。軟弱な表層を削る必要があり、海水ポンプとの高低差を小さくし、船からの資材搬入の利便性などを考えての判断だった。敷地の高さを超える大津波は来ないとの甘い想定もあった。
 一九九一年には1号機で海水配管の亀裂で地下階の非常用発電機が水没するトラブルがあり、九九年にはフランスの原発で河川氾濫で地下階が浸水し、非常用冷却装置などが機能喪失した。東電がこれらの教訓に学び対応していれば、福島第一の状況は大きく異なっていた可能性が高い。
 ベテラン作業員のハッピーさん(通称)は「水没トラブル後も、対策されないまま放置されていた。安全対策工事も山積していたが、各号機の稼働率やコストが優先され、安全は二の次になっていたのではないか」と振り返った。
 ◆次回は29日掲載予定。
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