北京モーターショー5カ月遅れの開幕 「コロナ克服」アピール思惑

2020年9月27日 06時00分
 世界最大規模の自動車展示会「北京国際モーターショー」が26日、北京で開幕した。新型コロナウイルスの影響で日本や欧米の新車販売が低迷する中、中国の自動車市場は急回復しており、各国メーカーは中国に商機を求めて電気自動車(EV)や新エネルギー車などを披露した。感染拡大後の世界で開催される唯一の主要モーターショーとなり、「コロナ克服」をアピールしたい中国の思惑も浮かぶ。(北京で、坪井千隼、写真も)

26日開幕した北京モーターショーの会場では、来場者も自動車メーカースタッフもマスク姿だった

◆「世界で最も早い景気回復」

 「マスクをしっかり。アプリもみせて」。会場に入ろうと朝から行列をつくるメディア関係者に対し、係員が感染対策を呼び掛けていた。今年の入場チケットは電子化され、専用アプリで感染リスクを確認し、体温チェックも徹底される。展示面積や出展台数は例年よりもやや縮小した。
 新型コロナの影響で、当初予定の4月から5カ月遅れの開幕。米デトロイトなどのショーが軒並み中止となる中、新規感染をほぼ抑え込んだ中国は開催に踏み切った。コロナ抑圧と本格的な経済回復を世界に印象づける狙いもある。
 中国国際商会自動車産業商会の王俠おうきょう会長は中国メディアの取材に、「中国の自動車市場はV字回復した。新型コロナを克服し、世界で最も早く景気回復に成功したことをモーターショーで示せる」と誇った。

◆「CO2削減」環境に配慮も

26日、北京国際モーターショの会場で、EVなど新エネ車やHV車が並ぶトヨタの出展ブース

 会場では各国メーカーのEVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの新エネルギー車、ハイブリッド車(HV)が目立つ。
 トヨタ自動車は、小型スポーツ多目的車(SUV)「CーHR」のEVをはじめ、EVやPHVなどの新エネ車とHVを展示。上田達郎中国本部長は、中国でのHVの累計販売台数が100万台に達したことを明らかにし、「中国の青い空に貢献していく」と環境対応をアピールした。
 ホンダは新型EVのコンセプトカーを世界初公開。中国での量産を目指し、世界販売も狙う。日産自動車はSUVの新型EV「アリア」を海外としては初めて公開。中国では来年末までに販売を始める予定だ。

◆各国メーカーの販売に影響

26日、北京国際モーターショの会場で、新エネ車やHV車が並ぶトヨタの出展ブース

 各国メーカーが新エネ車に力を入れるのは、中国が近年、二酸化炭素(CO2)排出削減など環境対応を重視する姿勢を強めている影響が大きい。
 中国の習近平国家主席は今月22日、国連総会一般討論のビデオ演説で、CO2排出量を2030年までに減少に転じ、60年までに実質排出量をゼロにする「カーボン・ニュートラル」を「実現できるよう努力する」と表明した。
 米中対立が深刻化する中、CO2排出削減に消極的な米トランプ政権とは対照的に、環境問題への積極姿勢を示すことで、国際社会での発言権を増す狙いも透ける。排出量削減の実現性は不透明だが、世界最大の自動車市場である中国の姿勢は、各国メーカーの販売戦略に影響を及ぼしていることは間違いない。

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