「ころな君」負けないで 名前に悩む8歳に警察OBらが応援歌 

2020年9月27日 05時54分
 新型コロナウイルスの影響が広がる中、自分の名前を巡って心を痛める少年がいる。青森県の小学2年生村越光冠ころな君(8つ)。フェイスブックを通じ苦悩を知った長野県警OB山田文大ふみおさん(62)=長野市=らが今月、光冠君を励まそうと歌った歌をCDに録音して贈った。「応援する大人がいる。明るくすてきな名前だから、自信を取り戻して」。そんな思いを込めて。(城石愛麻)

光冠君を応援する歌や絵本を贈った山田文大さん(中)、絵本を選んだ輪違裕子さん(左)、応援歌でピアノ伴奏した小林恵子さん=長野市で

 光冠君の名前は、太陽の周りに虹色の神秘的な光の輪がかかって見える「コロナ(光冠)」が由来。父方の祖母がメキシコ人で、日本でもメキシコでも呼びやすく、明るくて元気な子になってほしいとの両親の思いが込められている。母ちあきさん(40)は「名前通り、やんちゃで元気な子になった」と語る。
 だが、今年に入って新型コロナ感染者の死亡がテレビで報じられるたびに、光冠君は「『ころな』じゃない」と怒って叫び、「学校で新型コロナウイルスと書かれた配布物を友達に渡すのがつらい」と漏らすようになった。ちあきさんも外出先で光冠君の名前を呼ぶのがはばかられ、「改名も考えた」と打ち明ける。
 光冠君らの苦悩を、ちあきさんの知人がフェイスブックに書き込んだ。それをきっかけに、光冠君らとは面識の無かった山田さんが応援を思い立った。県警では子どもの安全対策を担当し、「胸が痛み、子どもを守らなければという現役時代の気持ちがよみがえった」と振り返る。
 励ましの手紙を送ろうと知人らに相談したところ、応援の歌の話が持ち上がった。選んだ曲は「しあわせになあれ」(弓削田健介さん作詞作曲)。それぞれの名前には名付け親の「幸せになって」との願いが込められている、と伝える歌だ。
 市内の元ピアノ教師小林恵子さん(54)が伴奏を付け、山田さんや、絵本の豊富な知識を基に子どもに読み聞かせをする絵本専門士、輪違わちがい裕子さん(60)ら5人が合唱し録音した。
 山田さんは「すてきな名前を大切に」との思いを込め、「長野県にみかたがいるから、もしつらいことがあったら思い出してください」と手紙につづった。迷惑かもしれないと悩んだが、知人を通じて気持ちを伝えてもらい、歌を録音したCDと、歌が基になった同名の絵本とともに今月3日、発送した。
 「なんでこんなにみんな優しいんだろうってうれしかった。今は自分の名前が好き」と光冠君。ちあきさんも「温かい人たちがいることに驚いて、贈り物が届いた瞬間に泣いてしまった」と話す。
 山田さんは「コロナに打ち勝つ、といった言葉が社会全体の共通認識になる中、傷ついている人がいることに多くの人に気付いてほしい」と願っている。

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