臭いが気になって寝られない…「コロナうつ」相談急増 専門家「不安を紙に書き出す」

2020年9月29日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染が収まらず、不安や憂鬱、いら立ちを訴える「コロナうつ」とも呼ばれる相談が、各地の精神保健福祉センターや民間の相談窓口に相次いでいる。厚生労働省は今月、1万人を対象に全国メンタルヘルス調査を始めた。コロナ禍で、心の不調とどう向き合えばよいのか。(太田理英子)

心の悩み相談先

 「嗅覚障害がないか気になってしまい、何度も夜中に起きて臭いの確認をしてしまう」。今月中旬、NPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」(東京都豊島区)が無料通信アプリ「LINE(ライン)」で運営する「こころのほっとチャット」に、20代女性からメッセージが届いた。感染拡大の影響で仕事を失い、再就職先が見つかったばかり。初出勤を前に感染への不安を募らせているという。
 新型コロナに絡む相談が相次ぎ、6月にLINEとツイッター、フェイスブックで専用のチャット相談窓口を開設。6~8月の3カ月間の相談件数は751件に上る。
 「コロナを気にしすぎて精神的にまいっている」「子どもが言うことを聞かず、きつくあたってしまう」。感染への不安や、家族と過ごす時間が増えて生じるストレス。オンライン授業ばかりで友人らと会えず、孤独感を募らせる大学生も多い。
 気持ちを吐き出すうちに落ち着く人が多いが、不眠や食欲不振が続くケースも。東京メンタルヘルス・スクエアのカウンセリングセンター長の新行内勝善さん(51)は「コロナの長期化で小さなストレスが蓄積され、心だけでなく体にも不調が現れる」と懸念している。

◆不安を紙に書く

藤野智哉さん

こうした不調について、「コロナうつはぷかぷか思考でゆるゆる鎮める」の著者で愛知医科大病院の精神科医、藤野智哉さん(29)は「環境変化に対応できずに現れるのがコロナうつ。適応障害に近い」と捉える。災害と同じで、「時間がたつほどしんどくなりやすい。孤立の防止が大事だが、コミュニケーションがとりにくい現状では難しい」という。
 どう対処したらよいか。藤野さんは「不安の正体を明確にすることが大事」と強調する。まず、不安を紙に書き、「対処できること」と「できないこと」に分ける。その上で、「世の中の出来事は、自分の力で解決できることばかりではない」という認識の下、できないことはあきらめ、どう受け入れるか考える手法が有効だという。「自分の置かれた状況を客観的に見極めるだけでも、気持ちが少し軽くなる」

◆日記をつける

亀田高志さん

 「図解 新型コロナウイルス メンタルヘルス対策」の著者で産業医の経験が長い亀田高志さん(56)は、家族が自宅で一緒に過ごす時間が長い場合、「親子や夫婦で話し合って毎日のスケジュールを決め、暮らしのリズムを作り直すことが大事」と話す。適度な運動や睡眠の時間の確保、酒やゲームへの依存防止にもつながるという。
 気持ちのメリハリを付けるために、日記をつけることを勧める。仕事は黒色、家族の用事は青色、健康管理の関係は赤色など、内容によって色分けしておくと、後で振り返って生活のバランスを確認しやすい。
 インターネットやSNSを使って情報過多に陥らないことにも注意が必要だ。「完全な終息は先のことだと理解し、正確な情報をきちんと押さえておくことを前提に」と呼び掛ける。

関連キーワード

PR情報