羽田新ルート訴訟 「部品落下なら火の海に」第一回口頭弁論 国は争う姿勢

2020年9月29日 05時50分
 羽田空港(東京都大田区)の発着枠拡大のため3月に運用が始まった旅客機の新飛行ルートは、危険で騒音の影響も大きいとして、ルート直下の住民ら29人が国に運用の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が28日、東京地裁(清水知恵子裁判長)であった。国側は争う姿勢を示した。

 羽田新飛行ルートの運用の取り消しを求めた訴訟のため横断幕を手に東京地裁に向かう原告の都と川崎市の住民ら

 原告側は、着陸時に都心上空を通過する際の騒音や、落下物への恐れから、住民の生活が脅かされると主張した。さらに、墜落の危険性から川崎市のコンビナート上空の飛行を避けるよう求めた1970年の国の通知を、状況に大きな変化がないのに昨年12月に見直し、離陸時にコンビナート上空を通るルートを設定したことを指摘。危険区域上空の飛行を禁じる航空法に違反するとしている。
 口頭弁論で原告側の弁護士は「海上にあった離着陸ルートをコンビナートや都心上空に変えるのは危険で、行政の裁量権を逸脱している」と主張。原告の1人、須永知男さん(73)=渋谷区=は「落下物の不安などから睡眠が浅くなった。大学受験を控えた孫は『騒音で勉強に集中できない』と言っている」と訴えた。
 新ルートは、今年開催予定だった東京五輪・パラリンピックに合わせて年間発着回数を3万9000回増の48万6000回に増強するため設定。南風時の午後3~7時に、着陸機は渋谷区や港区などの上空を通過、離陸機は川崎市のコンビナート上空などを通る。

◆部品が落下したら火の海

「部品が配管に落下したら火災が起き、一帯は火の海になる」。原告の1人、竹内康雄さん(71)=川崎市川崎区=は28日の意見陳述で訴えた。石油コンビナートに勤めた経験から「パイプラインに高圧の可燃性ガスや毒性ガスが流れている。新ルートは無謀だ」と指摘した。
 原告側は着陸時に都心上空を通過する際の騒音などの問題に加え、離陸時に川崎市のコンビナート上空を通過する危険性を強調。閉廷後、原告側の集会に参加した主婦名倉三也子さん(75)=同区=は「コンビナートの上を飛ぶのは危ない。黙っていてはいけない」と訴えた。名倉さんは昨年春、新ルートに反対する運動に参加し、グループ全体で7500筆の市議会あての署名を集めている。
 東京都心はエンジン出力を下げる着陸機が通るのに対し、川崎市側は出力を上げる離陸機が飛ぶため、騒音が大きくなる。コンビナートでは危険を伴う屋外作業の際、会話が聞き取れないこともあるという。
 名倉さんは「新ルートの問題について関心がない人も多く、『羽田の便が増えれば便利』と言う人もいる。もっと騒音被害や危険性を知ってほしい」と話した。(宮本隆康、梅野光春)

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