<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(6)計器、弁…もろい電気仕掛け

2020年9月29日 07時18分

計器や弁の操作用に、かき集めたバッテリーで対応する作業員=東京電力提供

 建屋地下が水没し、ほぼ全ての電源を失った東京電力福島第一原発(イチエフ)では、原子炉の水位や冷却装置などを操作するどころか、状況もほとんど分からなくなった。「操作もできず、手も足も出ないのに、われわれがここにいる意味があるのか」。東電の事故調査報告書には、暗い中央制御室で、運転員同士で言い合ったとの証言が記されている。
 例えば、2号機で消防車を使って外部から注水できるよう配管構成を変える作業をした場面。通常なら制御室のスイッチ操作で、直径六十センチの配管の大きな弁も二十四秒で開閉できる。だが事故現場では、暗闇の中、防護服を着てはしご上の作業となり、十人がかりで一時間かかった。
 磁力や空気圧で作動する弁の場合には、電力やコンプレッサーで高圧の空気を送る必要がある。計器類の多くも電力を必要とした。運転員らは車などのバッテリーをかき集め、対応する必要があった。
 事故発生直後、部下とケーブル敷設に当たった作業員は、「とにかく電源を復旧させようと必死だった。放射線量も分からない暗闇の中、重い電源ケーブルを8の字に巻いて運んだ。夕方から朝までぶっ通しの作業が続いた」と振り返った。昼間は消防隊や自衛隊などが冷却水の放水をするため、原子炉建屋周辺の作業は難しい夜間が多かった。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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