浅草の新人人力車ガイド、GoTo東京追加に期待と不安

2020年9月30日 06時00分
 政府の観光支援事業「Go To トラベル」に、東京都発着の旅行が10月1日から追加される。新型コロナウイルス感染の収束がいまだ見えない中、春先から冷え込みが続く東京観光の起爆剤になるか。(梅野光春)

8月に人力車を引き始めた増田翔太さん。10月からの観光客増加に期待する=東京都台東区で

◆デビュー即コロナ禍

 秋めいてきたとはいえ、東京・浅草で人力車を引く増田翔太さん(26)=埼玉県越谷市=の額に汗がにじむ。浅草寺の国重要文化財「二天門にてんもん」の前で車を止めると、「震災や空襲をくぐり抜けたこの門ですが、今後も焼けることはないと言われています。ちょっと意地悪なクイズですが、なぜでしょうか」。
 ガイドをする口調は慣れたものだが、8月にデビューしたばかりだ。昨秋、建設関係の会社を辞め、ふと思い浮かんだのが、大学1年の頃に友だちと歩いた浅草だった。「車夫がかっこよかったな」。人力車の「時代屋」の面接を受け、今年3月に採用された。

人力車のシートをアルコールで除菌する増田翔太さん

 観光案内の知識を頭にたたき込み、同僚を乗せて走る研修を続けるうち、世の中はコロナ禍に。時代屋の藤原英則代表(64)は「3月に外国人観光客が消え、4月に国内の観光客もいなくなった。1カ月ほど休業して6月に再開したが、8月も売り上げは前年比90%減だった」と明かす。

◆「お客さんの喜ぶ笑顔を見たい」

 増田さんは一線に出たものの、出勤は土日のみ。利用客はまだ都内の人が中心だ。「お客さんがゼロの日もある。それに週2日の勤務だと体がなまる」。家の近くを走り、腕立て伏せをして鍛える日々。外国人客が戻る時に備え、英会話も少しずつ勉強中だ。
 我慢の時期が続くからこそGo Toに期待を寄せる。「実際はどうなるか不安もあるけど、少しでも多くの人に来てもらい、お客さんの喜ぶ顔を見たい」。クイズの答えを用意して、待っている。
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◆スカイツリー担当者も来場者増を期待

 「Go Toトラベル」の都追加を、東京スカイツリー(墨田区)の広報担当者も「都外からの来場者が増えそう」と期待する。3~5月末まで休業し、再開後の展望台来場者数は6、7月とも前年比で9割近く減った。コロナ対策で展望台にとどまる人数を通常の2~3割の400~600人に抑えているが、混雑の少ない日もある。
 「都心に出掛けても大丈夫、という安心感が広がるのでは」とみるのは、百貨店の松屋銀座(中央区)。銀座では23区外に住む60代以上の足が遠のいている印象といい、10月からのムード逆転を思い描く。
 東京都旅行業協会(千代田区)の村山吉三郎会長(68)は「まだ感染への警戒は根強い」と慎重だ。自身が営む旅行会社では、主に都内発の団体旅行プランを販売。9月18日に都の追加が発表された直後は予約が入ったが、すぐ落ち着いた。「東京から旅行して感染を広げたら迷惑だろうと遠慮する人もいる。日々の感染者数ががくんと減れば、好転するんじゃないか」

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