<志尾睦子のそふとフォーカス> (70)茅の輪をくぐる

2019年6月30日 02時00分

本県出身の飯塚花笑(かしょう)監督による劇場長編デビュー作のクランクインに合わせ、撮影の安全を祈願=高崎市の山名八幡宮で

 今年の梅雨は、程よい雨とお天気に恵まれているような気がする。梅雨のイメージにありがちなジメジメも蒸し蒸しも、これも程よい感じで収まってくれているようだ。今年は爽やかな夏の便りが、梅雨とともにやってきているようでもある。
 爽やかな夏の入り口に立っているとはいえ、梅雨時季は生活も行事も天気に左右されることが多くなる。特に、フィルム・コミッションとして映画やドラマ製作のお手伝いを始めるようになってからは、このお天気に左右されることがいかに大変な問題かを身に染みて感じるようになった。
 撮影は当然スケジュールが組まれて実行されるので、変更が起きた時の段取りはそう簡単にはいかないものだ。二週間の撮影なら、二週間分のスケジュールをあらかじめ決めておくから、ロケ場所や出演キャストのスケジュール、エキストラさんにご出演いただく日時も、予定していたことが変わると大幅に変更を余儀なくされる。何を優先してスケジュールを組むか、組み替えるかは至難の業だ。
 一日に予定していた撮影シーンが撮りきれないこともあるし、お天気で当初予定が変更になると難易度は高くなる。安全に滞りなく撮影が終わりますように、と毎回祈るが、梅雨時季は特に、安定した穏やかなお天気で日々が過ごせますようにと祈る力が強くなる。
 さて今年も梅雨の真っただ中、一つの映画がクランクインした。撮影の安全を祈願してスタッフ皆で高崎市の山名八幡宮へおはらいへ出掛けた。ちょうど夏越(なごし)の祓(はらえ)の時季、境内には茅(ち)の輪が設置されていた。小雨の降る中、茅の輪をくぐり、社殿へと進む。雨が少し強くなったあたりでおはらいが始まった。
 これから始まる撮影を考えると雨のスタートに少し気分を重くしていたら、おはらい中に社殿がだんだんと明るくなってくることに気づいた。終わる頃にはすっかり雨が上がっていた。ぬれた境内を優しい日の光が照らす光景は美しくすがすがしかった。幸先の良いスタートに心が弾んだ夏越の祓であった。
 (シネマテークたかさき総支配人)

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