<参院選>日本語教育 共生のカギ 「争点の現場から」増加する外国人

2019年6月30日 02時00分

カタカナの書き方を教え合うインドの女性(左)とバングラデシュの女性=太田市国際交流センターで

 知事選と同日程で参院選が7月4日公示、21日投開票される。憲法改正や消費税増税、社会保障などが争点として浮上する中、県内では増加する外国人との共生が課題となっている。外国人への日本語教育の現場から課題と対策を追った。 (池田知之)
 太田市役所の敷地内にある市国際交流センターで十九日にあった外国人向けの日本語教室「あゆみの会」はにぎやかだ。外国人受講生はベトナムや韓国、フィリピン、ブラジルなど大人の二十人が数人ずつのグループに分かれて学習していた。
 日本人の講師がホワイトボードでカタカナの書き方を示すと、受講生はペンを手にまねていた。「ソ」の字は「リ」と似ていて苦労しているようだ。五カ月前、夫の仕事で来日したインド人女性(25)は「日本語、ちょっと難しい」とはにかみながら話した。
 あゆみの会で二十年間にわたり講師を務めている栗田政子会長(70)は「外国人に日本語を教えることを通じ、自分の知らない文化や、ものの考え方に触れることができる」とやりがいを感じる。
 講師はボランティアで活動しているため、受講料は十二回の一学期分で五百円と安価。教室が開かれるのは火曜日の夜と、水曜日と日曜日のそれぞれ昼。平日の受講者は二十人程度だが、日曜日は仕事が休みのため、百人以上が訪れる。センターでは教室として利用できるのは六部屋と限られ、日曜日はいっぱいに。今以上に受講生が増えると、教室の確保が難しくなる。
 四月に改正入管難民法が施行され、在留外国人の増加が見込まれる中、講師の確保も課題だ。「あゆみの会」の講師は六十~七十歳代を中心に二十九人。四十~五十歳代もいるものの、本業の仕事が忙しい講師は多い。現状では高齢化と後継者難に悩む。
 十六年間にわたって講師を続けている男性(79)は将来について「景気が悪い中、若い世代に講師を託すためには、有償ボランティアにして、せめて小遣いが出るぐらいではないと」と話す。
 受講料を上げると、受講生が減る恐れがあるため、栗田会長は「今は有償ボランティアは考えていない」としながらも「今後、長く活動を続けていくためには、有償も必要になるかも」と案じている。
 県の統計によると、県内の二〇一八年末の外国人人口は五万六千五百九十七人。一三年末(四万五百九十三人)から一・四倍に増えた。今後もますます日本語学習の需要は高まる。
 多文化共生研究に取り組む群馬大の大学教育・学生支援機構大学教育センターの結城恵教授は「外国人にとってボランティアの日本語教室はいちばん行きやすい場所」と指摘し、外国人労働者を雇っている企業と連携しての日本語教室運営を提案する。
 六月二十一日には、在留外国人への日本語教育を推進することは国や自治体などの責務とする「日本語教育推進法」が参院本会議で成立した。ただ、法律が定めているのはほとんどが基本理念だ。具体的に施策をどう実現するかは国や自治体の課題になっている。

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