「沖縄の痛み」共感広げ再び コロナ禍、都内で上映中断の「ちむぐりさ」 10日からポレポレ東中野

2020年9月30日 07時57分

夜間中学に通うおじいと三線を弾く菜の花さん(左)=「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」より(C)沖縄テレビ放送

 新型コロナウイルスの影響で今春、上映が中断されたドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」が、半年ぶりに東京に戻ってくる。能登半島出身の少女の目を通して、基地が集中する沖縄の痛みを描いた作品は、コロナ禍の逆風にもかかわらず、全国のミニシアターで共感を広げてきた。十月十日から東京・横浜での公開が決まり、監督の平良いずみさん(43)は「置き去りにされた沖縄の声が少しでも届いてほしい」と願う。(中山洋子)
 東京を皮切りに、全国で上映されるはずだった。
 だが、ポレポレ東中野(東京都中野区)で三月二十八日に予定されていた公開日の直前、東京都が週末の外出自粛を要請。土日の休業を余儀なくされ、平日のみ続けた上映も緊急事態宣言を受けて中断された。
 首都圏で公開のめどが立たない間、新潟のミニシアターを皮切りにコロナの影響の少ない地方都市の映画館が次々に上映を決め、地方から地方へと反響を広げていった。住民が地元の映画館に掛け合って上映が実現した街もあった。
 沖縄テレビのキャスターで、ディレクターも兼ねる平良さんの初監督作品。「沖縄で起こっていることを、県外の特に若者たちに伝えたかった。日を追うごとに若い人たちが増えているのがうれしい」と手応えを感じている。
 主人公は、十五歳からの多感な三年間を、那覇市のフリースクール「珊瑚(さんご)舎スコーレ」で過ごした石川県珠洲市の坂本菜の花さん(21)。在学中、故郷の北陸中日新聞で連載していたコラム「菜の花の沖縄日記」(後に書籍化)に目をとめた平良さんは、一八年春の卒業までを追ったドキュメンタリー番組を制作。同年の「地方の時代」映像祭でグランプリを受賞した番組に、卒業後の一年を加えて映画化した。

スクリーン越しに舞台あいさつする平良いずみ監督(画面(左))=8月8日、金沢市で

 「ちむぐりさ」とは誰かの痛みを分かちあい、胸を痛めるという意味のウチナーグチ(沖縄の言葉)。併設の夜間中学に通うおじいやおばあ、米軍機炎上事故の被害者たちと交流を重ね、菜の花さんは沖縄の明るさの裏にある痛みに気づき、本土に生きる自分の問題として受け止めていく。
 安倍政権の七年半、辺野古の新基地建設に固執する政権に呼応するように、SNSなどでは辺野古で座り込み、基地建設に反対する人々への心無い中傷が増えた。平良さん自身も、県外の大学生に「国がやることに沖縄はなぜ反発するのか」と問われ、溝の深さを痛感した。
 故翁長雄志前知事との面会を長らく拒み、沖縄の民意を軽んじたのは官房長官時代の菅義偉首相。就任後も辺野古をめぐる強硬姿勢を崩さないが、平良さんは「コロナのどさくさで辺野古が置き去りにされている今、再び東京で上映できるのは、何か意味があると感じている」と期待した。
  ◇ 
 十月十日からポレポレ東中野、シネマジャック&ベティ(横浜市中区)で公開。東京では十日、横浜では十一日に平良さんの舞台あいさつを予定。十月三日からあつぎのえいがかんkiki(神奈川県厚木市)でも公開される。

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