ジョージ・フロイドさんの暴行死から4カ月 事件現場は黒人犠牲者を追悼する祈りの地に

2020年9月30日 13時50分

警官などからの暴力で亡くなった多数の黒人らの名が書かれた路上。奥の交差点左側がジョージ・フロイドさんの事件現場

 米中西部ミネソタ州ミネアポリスで5月、黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に暴行され死亡した事件は、全米に衝撃を与え、差別への抗議運動が広がるきっかけとなった。事件から4カ月たった現場を訪れると、フロイドさんだけでなく、これまで命を落とした数多くの黒人たちを追悼するための祈りの地となっていた。 (ミネアポリスで、金杉貴雄、写真も)

◆路面に書かれた300人の名と広場の墓標

警官などからの暴力で亡くなった黒人らの墓標。「あと何人そこにいなければならないのか?」とも(手前右)

 ミネアポリス中心街から南に3キロほど。その一角に足を踏み入れると、路面に書かれた人名の列が目に飛び込んできた。フロイドさんが死亡した現場近くまで、100メートルほどの間に約300人。全て警官などからの過剰な暴力で亡くなった黒人たちだという。近くの広場にも彼らの墓標が立っていた。
 ここに記されているのは、広く知られた犠牲者だけだ。テニスの大坂なおみ選手が全米オープンで7試合、暴力で命を落とした黒人の名が1人ずつ書かれたマスクを着け「7枚では足りないのが悲しい」と語った言葉がより重く心に響いた。

ジョージ・フロイドさんが暴行死した現場(左奥)のある交差点付近。車両の通行を止め一帯を追悼の場としている

 フロイドさんが亡くなった交差点付近には事件後、多くの人々が集まり、差別に抗議し片膝をついて祈った。ボランティアと地域住民は現在でも車両を通行止めにし、一帯を「ジョージ・フロイド広場」と名付け追悼のため管理している。

◆事件現場に記された最後の言葉

 事件の場所は、たくさんの花に囲まれていた。白人警官にうつぶせで後ろ手に手錠をかけられ、8分46秒間にわたり首に膝を乗せられ亡くなったフロイドさんの人型が、青く路面に描かれていた。足元には「息ができない、息ができない、ママ」と繰り返した悲痛な訴えも書かれていた。

ジョージ・フロイドさんが暴行死した現場。足元には「息ができない、息ができない、ママ」との言葉も

 「ここに暴力はない。銃撃もなくギャングもいない。安全で平和な祈りの場だ」
 「門番」と名乗るイライザさん(52)は既に100日以上、このエリアの入り口付近で訪問者たちにマスク着用を呼び掛け、注意書きの配布などを続けている。

◆警官に認められた免責が黒人犠牲の背景に

 米国ではフロイドさんが死亡した後も、黒人が警察の暴力の犠牲になる事件が絶えない。背景には、最高裁判例で警官に幅広い免責が認められていることが指摘されている。
 ボランティアのマーキス・ブーイさん(44)は「警官が免責を知っているので、過度の暴力がなくならない。全く違う考え方を持ち込む必要がある」と訴える。

◆人種差別に注目、変化の兆し

 ただ、変化の兆しも感じられるとする。「この不幸な出来事は、それまで差別の実態に気付かなかった人たちの注目を集めた。社会が動く潮流ができつつある気がする」と期待する。
 「ここには黒人の痛みが並んでいる。あなたは彼らの話を伝えるだけでなく、自らの地域での変化に影響を与える義務がある」。イライザさんが配っていたリーフレットにはそう記され、さらに続いた。「この場所は、長年放置されてきた構造的な人種差別の記憶として歴史に残るだろう」
 11月に大統領選がある。ブーイさんは「人々を分断させることに専念する大統領がいる。国民がさらに4年を任せることはないと信じている」と語り、結果が持つ重要性を強調した。

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