防衛費も「安倍路線継承」 概算要求、米との軍事一体化鮮明に

2020年9月30日 19時25分

安倍政権で進んだ安全保障政策の転換

 7年連続で過去最大額を更新した防衛省の2021年度予算の概算要求は、安全保障政策の転換で日米の軍事的一体化を進め、防衛費を膨らませた安倍政権の路線を、菅義偉首相が継承する姿勢を鮮明にした。(上野実輝彦、荘加卓嗣)

◆深まる自衛隊と米軍の一体化

 今回の概算要求に盛り込まれた事業で、自衛隊と米軍の一体化を象徴するのが「いずも」型護衛艦の事実上の空母化改修だ。
 15年に成立した安保関連法は、重要影響事態法を新設。朝鮮半島有事など、放置すれば日本への武力攻撃に至る可能性がある「重要影響事態」が発生した場合、戦闘作戦のために発進準備中の米戦闘機に、自衛隊が給油や整備を行えるようにした。
 いずもの改修でF35Bが搭載できるようになれば、米軍の同型機も離着艦が可能となる。日本政府が重要影響事態だと認定すれば、いずもの艦上で給油や整備を受けた米軍機が戦闘発進できることになる。
 19年3月の衆院安保委員会では、当時の岩屋毅防衛相が、改修後のいずもに米軍機が着艦する可能性を認めた。給油後の米軍戦闘機が敵国攻撃に向かう可能性も「排除しない」と明言した。

◆「兵器ローン」も増大続く

防衛予算とFMS契約額の推移

 「安倍路線」の継承は、止まらない防衛費の増大傾向にも顕著に現れた。
 防衛省は近年、高額兵器の調達費を賄うため、費用を複数年の分割で払う「兵器ローン」を組んでいる。21年度の新たなローン額は2兆6712億円の見込み。本年度から2662億円増える。ローン返済に充てる額は2兆2337億円で、新規ローンが返済額を上回る。
 こうしたやりくりが常態化し、ローン残高は膨らみ続けた。21年度には5兆4585億円に上る見通しで、11年度の2兆9408億円から、10年間で約1.8倍の急増だ。
 高額兵器には、F35などの米国製兵器が含まれる。米国製兵器の多くは、米政府が一方的に有利な条件で価格や納期を決める「対外有償軍事援助(FMS)」という方式で契約され、防衛費の総額を押し上げる一因となってきた。
 FMSの契約額はピーク時よりは減ったが、12年末に発足した第2次安倍政権以前に比べ高止まりが続く。自衛隊は今後、F35を100機以上導入する計画で、この傾向は当面続く可能性がある。

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