<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(8)複数炉 連鎖するリスク

2020年10月1日 07時49分

水素爆発が起きるたび、現場は注水ラインの再構築を迫られた=東京電力提供

 崖を崩して造成した狭い敷地に東京電力福島第一原発(イチエフ)1〜4号機は並ぶ。効率はいいかもしれないが、事故時は危機が連鎖する複数炉の問題が表面化した。
 三月十二日午後、予想していなかった1号機の水素爆発で、せっかく完成しかけていた消防車三台を直列につないでの海水注入のホースが吹き飛んだ。電源車から電力を供給すべく、人力で重いケーブルを敷設する作業も進んでいたが、これも損傷した。
 一時退避による作業中断、がれきの撤去、作業のやり直しで貴重な時間が失われた。
 十四日には3号機でも水素爆発が起き、2号機の作業に深刻な影響を与えた。
 炉心冷却用にほぼ準備が終わった海水注入のホースや消防車が損傷。建屋内では、注水に向け格納容器の圧力を逃す準備が進められていたが、爆発の衝撃で排気(ベント)配管の弁の回路が壊れ、弁が閉じてしまった。代替策を講じる間に、2号機の状況は急速に悪化した。
 「3号機が吹っ飛んだ」との一報を受け、テレビを見た当時の東電福島事業所の小山広太副所長はがくぜんとした。「あんな分厚い原子炉建屋が…」。絶対安全と信じていたものが崩れた瞬間だった。その日夕方には、今度は2号機の核燃料が露出し始めた。「大きな津波が次々押し寄せてくるような感じだった」
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧