「命のビザ」杉原千畝の記念館を守りたい 東京の旅行会社有志が寄付募る

2020年10月1日 14時00分
 第二次世界大戦中に多くのユダヤ人の命を救った岐阜県出身の外交官、杉原千畝(1900~86年)の功績をたたえるリトアニアの杉原記念館が、コロナ禍による観光客減で閉鎖の危機に直面していることを受け、日本の旅行会社の社員有志が支援プロジェクトを立ち上げた。「日本人の手で守りたい」と寄付を募っている。(浜崎陽介)

杉原記念館への寄付金を募るクラウドファンディングのページ(ウェブサイトより)

 カウナスにある記念館は旧日本領事館で、杉原がナチス・ドイツに迫害されたユダヤ人に日本への通行を許可する「命のビザ」を発給した場所。2000年から執務室やビザの複写などが公開されている。
 昨年は来館者の85%に当たる1万6000人の日本人が訪れたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で3月中旬から3カ月間休館となった。日本人客が途絶え、収入が激減したことで存続が危ぶまれている。

杉原千畝の功績を紹介する杉原記念館=リトアニア・カウナスで(同館提供)

◆本紙の記事をきっかけに支援プロジェクト発足

 支援プロジェクトは、5月1日付の本紙記事で苦境を知った東京都内の旅行会社の社員有志を中心に12人で発足。9月1日、インターネットのクラウドファンディングサイト「GoodMorning」で800万円を目標に寄付を募り始めた。
 サイト上では、ラムーナス・ヤヌライティス館長が動画で、「杉原氏の『人道』の信念を伝え続けることができるようご協力を」と呼び掛けている。メンバーのうち11人は添乗員として杉原記念館を案内した経験がある。訪問回数は11人で延べ100回以上に上り、思い入れが強い場所だ。
 プロジェクト代表の三浦慎平さん(32)によると、記念館はバルト3国を巡るツアーの中で、日本人旅行客から最も多く印象に残った場所に挙がる。「記念館を訪れると皆さん、杉原氏の功績に胸を打たれる。日本人の手で守りたいし、旅行業界の垣根を越えて支援の輪が広がってほしい」と願っている。
 メンバー最年少の西山佳耶さん(25)は現地に行ったことはないが、杉原に関する著書に触れる中で記念館を守りたいとの思いを強くした。「戦時中に国籍や人種を差別しなかった杉原氏の思いを若い人たちにも知ってほしい。今は海外旅行が難しいが、コロナが終わったら私自身で記念館を案内したい」と心待ちにしている。
 募集は30日までで、全額を杉原記念館に寄付する。寄付額は1000円から10万円まで11種類を設け、それぞれに応じてお礼メールや写真、カレンダーなどが支援者に送られる。1日午前時点で310人から260万円余りが集まっている。
支援プロジェクトのサイトはこちら

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