マスク販売や給付金…コロナ禍便乗のサイバー犯罪疑い事案608件 警察庁が初調査
2020年10月1日 10時55分
今年上半期(1~6月)の間に新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー(電脳)犯罪が疑われる事案が、全国で608件あったことが1日、警察庁のまとめで分かった。全国の警察を通じて初めて調査した。
内訳はインターネット上に偽のショッピングサイトを開設し、マスクを販売するなどと偽り、金をだまし取るなど詐欺被害に関する相談が286件(47%)と最多。次いで、携帯電話事業者を名乗る者から「政府の要請を受けて給付金を送るので記載のURLから申請するように」というメールが送られてくるなど、目的が不明な不審メール・不審サイトに関するものが115件(18・9%)。
今年1月末には、実在する保健所名で、新型コロナウイルス感染症に関する通知が出たとして、製造業の事業所宛てに添付ファイルを開くよう誘導するメールが届いた。コンピューターウイルスを感染させ、企業の内部情報を盗むのが目的とみられる。
警察庁は、犯罪の手口を同庁や日本サイバー犯罪対策センターのホームページに掲載し注意を呼び掛ける一方、企業に対して情報システムのセキュリティー対策を徹底するよう注意喚起した。
一方、同期間にネットバンキングを使った不正送金は885件発生。被害額は5億1200万円と、前年同期の1億6600万円に比べ大幅に増加した。被害の多くはショートメッセージサービス(SMS)や電子メールを使って金融機関などを装い、フィッシングサイトへ誘導する手口だった。
また、フィッシングサイトでIDやパスワードに加え、金融機関の公式スマートフォンアプリを利用する際に必要な個人情報を盗まれ、キャッシュカードを使わずアプリで現金自動預払機(ATM)から不正に出金する新たな手口も確認されている。 (長久保宏美)
フィッシングサイト 個人情報を盗み出すわなとするため、実在する銀行などの金融機関やクレジットカード会社の公式サイトにそっくりな偽サイト。これらの会社を名乗り、例えば「パスワード変更のお願い」などといったメールを送り付け、偽サイトに誘導する。通常通りログインIDやパスワード、クレジットカード番号などを入力すると、それらの個人情報が第三者の手に渡り悪用される。
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