政府が学者提言機関に異例の介入 学術会議の新会員候補、6人の任命を拒否

2020年10月1日 22時24分
 学者の立場から政策提言する国の特別機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補6人の任命を、菅義偉首相が拒否したことが分かった。推薦候補の任命拒否は、現制度になった2004年度以降で初めて。6人には、安全保障関連法や特定秘密保護法など政府方針に批判的だった。加藤勝信官房長官は1日の記者会見で「首相の下の行政機関である学術会議において、政府側が責任を持って(人事を)行うのは当然」と述べたが、理由は説明しなかった。(望月衣塑子、梅野光春)

◆退任の会長「学問の自由への介入」 官房長官は否定

 9月30日に学術会議会長を退任した山極 寿一氏は取材に「退任直前に知らせを受け、理由も言われていない。(政府の行為は)学問の自由への介入だと言われても仕方がない」と批判した。
 一方、加藤官房長官は「推薦された人を義務的に任命しなければならないというわけではない」とし、学問の自由の侵害には当たらないとの認識を示した。

◆事務局「選考過程は答えられない」

 学術会議事務局によると、新会員候補は学術論文やこれまでの業績を踏まえ、8月末に内閣府人事課に105人の推薦書を提出。同課からは9月28日、99人の発令案を事務局が受け取った。
 事務局は翌29日、6人が任命されなかった理由を問い合わせたが、同課は「選考過程については答えられない」と明かさなかった。学術会議側は30日、任命しない理由の説明を求める菅首相宛ての文書を、内閣府に提出した。

◆首相に選任する権利はなし

 日本学術会議法では「会員は同会議の推薦に基づき、総理大臣が任命する」(7条2項)とあり、首相に任命権はあるが、選任できる権利はない。政府側は1983年11月24日の参議院文教委員会で「学会から推薦したものは拒否しない、形だけの任命をしていく、政府が干渉したり中傷したり、そういうものではない」と答弁している。
 日本学術会議は定員210人。任期は6年で3年ごとに半数が交代する。学術会議は1日、新会員99人を発表し、定員より6人減となった。

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