「黒川検事長の時と同じだ」 安倍政権から続く人事への強硬姿勢<日本学術会議問題>

2020年10月3日 05時55分
 国の特別機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補のうち、菅義偉首相が安全保障関連法などに批判的な6人の任命を拒否した問題を巡り、立憲民主党などの野党は2日、菅政権の姿勢を追及した。政府側が「法律に基づき任命した」と正当性を主張したのに対し、官邸の意向に沿わない学者を強制的に排除する不当な「人事介入」だと強調している。(中根政人)

◆法解釈を変更、経緯や理由も説明せず

 「検察庁法(改正案)の時と一緒だ」
 立民の大串博志氏は2日、野党が国会内で開いた内閣府の矢作修己参事官らに対する合同ヒアリングで、安倍政権時代の黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題に言及。今年1月に延長を閣議決定した後、追認するかのように制度を変える検察庁法改正案の審議を推し進めようとした事実と、学術会議の問題の根は同じだと指摘した。やりとりの中で、政府が任命拒否を認める法解釈の変更をした可能性が浮上したためだ。
 野党は、政府が任命拒否の経緯や理由を説明しない点も問題視。過去に会議側の推薦候補をそのまま認めてきた歴史もあり、立民の原口一博氏は「内閣に拒否権が生まれたのか」と解釈変更の有無をただした。
 矢作氏は「義務的に任命しなければならないというものではない」などと繰り返し、最後まで理由を明らかにしなかった。立民の福山哲郎幹事長は記者団に「違法の疑いもある」と語り、国会で追及していく考えを強調した。

◆ルールや慣例より官邸の考えを優先

 安倍政権の継承を掲げる菅政権。今回の問題の対応でも安倍政権と重なる。ルールや慣例よりも、官邸の考えを支持するかしないかを優先し、安倍晋三前首相や官房長官だった菅首相が人事を意のままに操っていた疑いが拭えないからだ。
 黒川氏の定年延長では、政府は「国家公務員法の定年延長は検察官に適用されない」との従来の法解釈を変更し、閣議決定に踏み切った。黒川氏は菅首相に近かったとされ、検察トップである検事総長就任までの「つなぎ」と取りざたされていた。賭けマージャンの問題発覚で辞職を余儀なくされたものの、政府は閣議決定を撤回しなかった。
 2013年8月には、駐フランス大使だった外交官の小松一郎氏(故人)を「法の番人」と呼ばれる内閣法制局の長官に起用。内部昇格の慣例を破る異例の人事だった。歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使容認を含め、憲法解釈を変更した上での安保法成立に向け、小松氏が安倍氏の方針を支持していたことが背景にあったとされた。

◆「方針に従わなければ異動」今回も?

 菅首相が総務相時代に導入を主導したふるさと納税を巡っては15年、問題点を指摘した総務省の平嶋彰英自治税務局長が通常のルートを外れる自治大学校長へと異動。政府は否定しているが「左遷人事」との見方もあった。
 首相は自民党総裁選中の先月、省庁幹部の人事で「方針に従ってもらえない場合は異動してもらう」と明言。政府高官は今回の対応に関し「任命するのはこちら。無条件に認める方がおかしい」と主張した。

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