<法律お助け隊 君和田伸仁弁護士>コロナ不況で退職金もらえない

2020年10月3日 07時09分
<お悩み> コロナ不況で経営が悪化し、8月に会社を辞めました。退職金が400万円払われるはずでしたが、「資金繰りが厳しい」という理由でいまだに支払われていません。聞くところでは、大口の取引先との取引も近々打ち切られるようです。最悪、倒産も予想されます。退職金は払ってもらえるのでしょうか。(東京都・男性50代)

◆強制執行で取り立てを

<お答え> 会社の経営状況は相当に悪化しているようです。会社が自主的に退職金を払うことは期待できそうにありません。強制執行手続きによって取り立てることを考えるべきでしょう。
 強制執行は裁判の判決や和解などに基づき、相手の財産(預金、不動産、売掛金など)を差し押さえるものです。ただ裁判には時間がかかります。その間に相手の財産がなくなり、判決などが出ても差し押さえるべき財産がないことがあります。こうした事態を防ぐための制度が仮差し押さえです。判決などを得る前に、相手の財産を仮に差し押さえ、財産を処分できなくするものです。
 ただし賃金や退職金など労働債権については、債権の存在を証拠(退職金規定や給与明細など)に基づき証明できれば、判決などを取らなくても、いきなり差し押さえができる制度があります。先取特権による差し押さえといいます。
 相談によると、会社は現在、大口取引先との取引が続いているようです。ならば会社は、この取引先への売掛債権をもっていると思われます。そこで早急に売掛債権に対し、仮差し押さえや先取特権に基づく差し押さえの手続きを始めることを勧めます。手続きには専門的知識が要るので、弁護士に依頼するのが無難です。
 なお倒産した場合(破産申し立てをしないなど事実上の事業停止も含む)、労働者健康安全機構の未払い賃金の立て替え払い制度によって、退職金が払われることがあります。ただし上限額があります。例えば、四十五歳以上の場合は二百九十六万円が上限です。制度の詳細は、同機構のホームページで見ることができます。

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