<新型コロナ>オリーブの葉 ビールに 三島の障害者施設栽培 仕事ゼロで新境地

2020年10月3日 07時16分

オリーブの葉を選別する入所者ら=長泉町で(ユースエイド提供)

 三島市の障害者支援施設「ユースエイド」の入所者11人が育てたオリーブの葉を使ったクラフトビール「Fontana(フォンターナ) di(ディ) Oliva(オリーバ)」が、沼津市の醸造所で商品化された。新型コロナウイルスの影響で、施設が請け負っていた仕事がゼロになり「自ら仕事を作り出すこと」に迫られたことがきっかけだった。 (渡辺陽太郎)

入所者が栽培したオリーブの葉を使って醸造された「Fontana di Oliva」(左)。(右)はイベント用の特別ラベル=沼津市で

 黄金色のビールはしっかりとした苦味が特徴。ホップがオリーブの香りを引き立てる。醸造所「柿田川ブリューイング」の片岡哲也社長(35)は「女性も楽しめます」と誇らしげだ。
 片岡さんはジャガイモを使ったビールの醸造経験があった。これを知った施設代表理事で沼津市議の高橋達也さん(53)が二月、協力を依頼した。
 当時、新型コロナは海外を中心に感染が拡大。施設は土産品の梱包(こんぽう)や自動車部品の検品などを請け負っていたが、外国人観光客の激減や原材料が輸入できない工場の休業で、仕事がなくなっていた。
 高橋さんは「自ら仕事を作ることが必要だ」と実感。そのとき施設が四年前から長泉町の耕作放棄地を借り栽培してきたオリーブが使えると気付いた。それまで、実は油の材料として県内企業に買い取ってもらっていたが、葉はほとんど廃棄していた。少数ながら国内外にオリーブの葉を使ったビールがあることを知り、人づてに片岡さんを紹介してもらった。
 片岡さんは「ビールは味だけではなく醸造の背景、ストーリーが必要。高橋さんの熱意に打たれた」と商品化に踏み切った理由を語る。
 入所者は、剪定(せんてい)したオリーブの葉から、香りの決め手となる若い葉を選んだ。高橋さんは片岡さんと味のイメージの共有を図った。造り直しはできないため、議論を重ねた。仕込みは八月上旬に始め、オリーブの葉は製造の最終工程で入れた。ビールは一カ月ほどで完成。協力依頼から半年がたっていた。
 千二百本を製造、九月十七日から三島市や沼津市の酒販店、飲食店などで販売された。人気があり醸造所の在庫は既にないが三日午前十時〜、沼津市のプラサヴェルデである「ふくseeぬまづ福祉まつり」で、二百本が販売される。三百三十ミリ入り六百円で売り切れ次第終了だ。
 製造協力は来年度も続ける。施設は酒販免許がなく、本年度の製品販売利益はゼロだったが、高橋さんは「多くの人に協力してもらい自前の仕事ができた。免許を取得し、来年は入所者の給料に反映させたい」と意気込む。

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