16年の補充人事でも官邸が難色示し欠員に <日本学術会議問題>

2020年10月3日 22時26分

日本学術会議の幹事会を終え、記者の質問に答える梶田隆章会長=3日午後、東京都港区

 日本学術会議(梶田隆章会長)は3日、新会員候補6人の任命を拒否した菅義偉首相に対し、推薦した会員候補者が任命されなかった理由の説明と、速やかな任命を求める要望書を幹事会で決定し、内閣府に送付した。極めて異例の対応。梶田氏は記者団に「質問して、しっかり理由を理解したい」と述べた。

◆首相へ要望書 拒否6人の任命・理由説明求める

 また、関係者によると、2016年の補充人事の際に首相官邸側が候補者の任命に選考初期段階で難色を示していたことも判明。正式な候補推薦には至らず、欠員が生じたままになっていた。
 16年は会員3人が定年を迎えることになり、後任の選考を開始。途中で官邸側に説明したところ、候補3人のうち2人について難色が示された。この関係者は、理由については「聞いていない」と話している。
 一方、会員の法学者でつくる法学委員会は3日の会合で「日本学術会議法上、首相には会員を選考、罷免する権限はない」との考えで一致。違法で即時に是正すべきだとして法的な論点を整理、公表することを決めた。
 任命を拒否された岡田正則早稲田大教授(行政法)も法学委員会に出席し「学術会議は他の行政機関と比べて特殊な組織。首相による任命といっても、裁量権はない」と発言。終了後の取材に「法律にのっとって処理してほしい」と改めて任命を求めた。
 学術会議の会員任期は6年で、会議の推薦に基づき首相が3年ごとに半数を任命する仕組み。学術会議は8月31日に新会員候補105人を推薦した。首相は、安全保障関連法などに反対した法学者ら6人の任命を拒否。99人が10月1日に新会員に任命された。
 加藤勝信官房長官は、現在の制度になった04年度以降、推薦候補が任命されなかったのは今回の件が初めてと説明。改めて6人を任命する考えはないと明言している。(共同)

◆政府「決定覆さない」

 政府は、日本学術会議による新会員候補6人の任命を求める要望書に対し「任命を見送った決定は法に基づき適正だ」(政府高官)との立場を堅持する方針だ。首相周辺は3日「決定を覆すことはない」と強調した。
 政府関係者は「要望に応じて見直せば、政府判断が間違っていたと認めることになってしまう」と指摘した。任命しなかった理由の開示についても「これまでの説明に尽きる」とした。
 一方、別の官邸筋は「世論の批判と野党の追及を見極める必要がある」と語り、今後の展開次第では、追加任命することも排除しない考えをにじませた。(共同)

PR情報

政治の新着

記事一覧