「整備完了していても氾濫していた」 豪雨1カ月 県治水計画見直しへ

2019年11月26日 02時00分

一宮川の氾濫で浸水した住宅街=茂原市内で

 県内で死者11人が出た10月の記録的豪雨から、25日で1カ月がたった。氾濫により大きな被害を出した一宮川などに流れ込んだ雨量はピーク時、現状の河川改修計画による最大限の治水機能を超えていた可能性が高いことが県などへの取材で分かった。県はシミュレーションによる検証を基に、時間雨量100ミリの時代に対応した計画の見直しに着手する。 (中谷秀樹)
 「堤防のかさ上げや調節池の設置など全ての整備ができていたとしても氾濫していただろう」。千四百棟以上の家屋が浸水した茂原市を流れる一宮川について、河川整備に関わる複数の県職員がこう指摘した。
 同市中の島地区は、川が氾濫して周辺住宅の一階部分が丸ごと水に漬かった。この地域の堤防九百メートルは昨年、三十センチかさ上げされたばかりだったが、県河川整備課は「治水対策を超える水が流れ込んだ」と説明した。
 この地域は二〇一三年の台風被害を教訓に、浸水対策計画を策定。工事完了済みの同地区を含めた六キロの両岸の堤防を三十~六十センチかさ上げするほか、四十万トンを逃がす調節池の増設が二一年度完了予定だったが、想定はいずれも時間雨量約五〇ミリ。今回の豪雨では県内で同一〇〇ミリ以上の猛烈な雨が降ったとみられ、一宮川上流の長柄町水上の雨量観測所でも最大で同七七ミリを計測。通常を大幅に超える水量が流れ込んだ可能性がある。
 県は、今回の豪雨被害と治水能力との関連の分析を始めた。県河川整備課は「現状の整備計画が全て完了していたら、氾濫が防げたのか検証を進める。対応できない場合は新しい整備を加えていくことを考えないといけない」とした。
 一方で、河川改修には膨大な費用と時間を要する。流域の小学校周辺の道路が冠水し、一時孤立状態になった山武市の作田川は、氾濫した日向橋近くの県道の拡幅工事が進んでいなかった。県山武土木事務所の担当者は「用地買収の交渉に難航しているところがある」と説明。五十年以上前から整備を県に要望している同市土木課は「一番氾濫するところが事業着手できていなかった」と指摘した。
 県は国の支援を受けながら、今回氾濫した県内十九河川の整備促進を図る。河川整備課の担当者は「ハードで救いきれるのかという問題もある。一定のラインを越えれば、避難などソフト対策を組み合わせることが必要」と付け加えた。

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