「最高」「悪化」トランプ氏の評価二分 激戦州・ミシガンの判断は

2020年10月5日 06時00分

昨年閉鎖されたGMの部品工場。現在はマスク工場になっている=米中西部ミシガン州マコーム郡で

 米大統領選(11月3日投開票)まで1カ月を切った。勝敗を左右する「ラストベルト」(さびついた工業地帯)では、共和党のトランプ大統領(74)と民主党のバイデン前副大統領(77)の激しい戦いが続く。中でも自動車工場が集積する中西部ミシガン州は、トランプ氏が4年前に「製造業の復活」を掲げ、大接戦を制した。苦境が続くクルマの街を歩くと、トランプ氏への賛否が渦巻いていた。(同州で、白石亘、写真も)
 米自動車大手ビッグスリーの工場が立ち並び、従業員も多く住むデトロイト近郊マコーム郡。家の軒先のあちこちでトランプ氏を支援する看板を目にした。

◆支持者は「約束守った最高の大統領」

フォードの工場で働き、トランプ氏を支持するネルソン・ウェストリックさん=同州マコーム郡で

 フォード・モーターの工場で機械工として働くネルソン・ウェストリックさん(45)は毎週、トランプ氏を支援する仲間と集会を開く。「彼はひどい貿易協定を再交渉してくれた」と北米自由貿易協定(NAFTA)見直しを功績に挙げた。
 1996年の入社時、自動車工場で職を得るのは「ブルーカラーにとって宝くじが当たるようなもの」だったが、94年に発効したNAFTAで賃金の安いメキシコに工場が移転し、米国の工場は競争力が低下。賃上げは16年凍結された。政治に見放された失望感が大きかっただけに「彼は約束を守った。最高の大統領だ」と手放しでほめた。
 同じ工場で働くフランク・ピッチャーさん(53)も「彼は外国製品に関税をかけ、米国の労働者に公平な貿易協定になるよう戦ってきた」と大きな信頼を寄せる。

◆雇用減少、工場閉鎖…「4年間で状況悪化」

バイデン氏を支持するGM従業員のショーン・クロフォードさん=同州フリント市で

 だがトランプ氏の約束は実績が伴っているとは言い難い。大統領就任時から新型コロナウイルスの感染が拡大する前の今年2月までに州の自動車・部品製造の雇用は2400人減った。
 「悲しいけど、この4年間で状況はさらに悪くなった。トランプ氏は皆が聞きたいと思っているから、製造業の復活を叫んでいるだけだ」。ゼネラル・モーターズ(GM)の創業の地であるデトロイト近郊フリント市のGM工場で働くショーン・クロフォードさん(38)はバイデン氏を支持する。GMは昨年、コスト削減のため米国で3つの工場を閉鎖した。
 その1つの旧トランスミッション工場を訪ねると、「GMマスク」の看板を見つけた。コロナ対策で3月からマスク工場として活用されているが、従業員は150人にすぎない。80年前に開業し、最盛期には4000人が働いたが、近くの酒屋の男性店員は「売り上げはさっぱり」とこぼした。

◆「労働者階級は憂き目に」続く接戦

 トランプ氏は4年前、同州で劣勢を逆転し、ヒラリー・クリントン氏を得票率0.23ポイント差で破った。ミシガン大フリント校のジェイソン・コスノスキ教授(49)は「トランプ氏のメッセージが自動車産業の労働者たちに響くのは、彼らが従来のエリート政治家や企業経営者に強い反感を抱いているからだ」と指摘する。
 実際、バイデン支持で父の代から2代続けて自動車工場で働くフォードの電気技師ジェイソン・クルジークさん(47)は「過去20年間、大統領がどの党であれ、労働者階級は一貫して憂き目に遭ってきた」と語る。クルマの街の再生に道筋をつけられるか。直近の同州の世論調査平均では、バイデン氏がトランプ氏を5.2ポイント差でリードするが、なお接戦が続く。

PR情報

国際の最新ニュース

記事一覧