虫にやさしい地球を

2020年10月5日 07時31分
 刈り取りが終わった秋の田んぼでイナゴを捕まえるのは、子供たちのささやかな仕事だった。はねる力が強く、すぐ逃げられた。
 甘く煮て、口に入れる。カリカリとした強い歯応えがあり、歯茎や喉に刺さらないように注意しながら食べたものだ。
 ハチの幼虫は、生きたままのみ込む。濃厚な甘さとゼリーのような食感が特徴だ。大きな目印をつけたハチの成虫を追いかけて巣を見つけ、掘り出す。刺される危険性もあり、スポーツのような面白みがあった。
 自分が子供のころ、当たり前のように食べていた昆虫が、また注目されているという。
 二〇一三年、国連食糧農業機関(FAO)が食料不足対策として、昆虫を食用にしたり、家畜の飼料として生かしたりすることを推奨する報告書を公表したことがきっかけだ。
 日本では、「コオロギせんべい」も売られている。関連の本や雑誌も続々と出版されており、昔を思い出しながら読んでいる。
 「ゲテモノ食い」として好奇心で見る人もいるかもしれない。しかし昆虫食はアジアだけでなく、欧州やアフリカなど世界の各地に今も残る、伝統的な食文化の一つだ。
 太古の昔、人類は特別な道具や設備のいらない昆虫食で生きていた。哲学者のアリストテレスは、セミ食が好きだったという記録も残っている。多くの昆虫が生きる環境は、人間にもやさしいはずだ。   (五味洋治)

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