「なごり雪」の汽車 土屋武之さん

2020年10月6日 07時06分
 別れの名曲として親しまれている「なごり雪」は、1974年3月12日にリリースされた。東京での物語になっているが、作詞・作曲の伊勢正三は故郷・大分県の津久見駅=写真=をモチーフにしたと語っており、記念碑もある。
 ところで、歌われている「汽車」とは、どのような列車なのだろうか。リリース翌日の3月13日には津久見を含む幸崎−南宮崎間の電化が完成するなど、当時の日豊本線は近代化が進んでおり、蒸気機関車の時代は過ぎ去ろうとしていた。2番の冒頭では、恋人が乗った列車の窓が開いていないような描写がある。雪が舞うほど肌寒いからとも考えられるけど、別離の場面としては寂しい。東京行き急行「高千穂」なら、勝手な願いながら、窓を開けて「さようなら」と言ってほしい。
 では固定窓の特急ならどうだろう。東京行き寝台特急「富士」は、伊勢の青春時代、ずっと津久見は通過だった。新大阪行きの寝台特急「彗星」ならば、70年代前半、20時前に津久見に停車していたのでふさわしいか。DF50形ディーゼル機関車が牽引(けんいん)する20系ブルートレインが、なごり雪の中、カーブしたホームをゆっくり離れるシーンを思い浮かべるのが、想像としては楽しい。

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