生理のこと男子も知ろう 聞いて考える体験を 「避難所でのナプキン配布」題材に

2020年10月6日 07時29分

性教育活動を行う「アクロストン」の、みさとさん(左)・たかおさん夫妻

 生理について十分な知識がないまま大人になる男性は多い。生理中の煩わしさや体調不良について理解し、配慮できる男性になるには、子どものうちから正しく知る機会が必要。そんな思いから、災害避難所での支援物資の配布を例に、ユニークな性教育の体験講座を開いている医師夫妻がいる。どんな内容か聞いてみた。 (今川綾音)
 夫妻は、産業医みさとさん(38)と病理医たかおさん(38)。「アクロストン」のユニット名で、二〇一八年から親子向けの性教育活動を本格的に始めた。「思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」(主婦の友社)の著書もある。
 「震度7の地震が起き、多くの人がこの体育館に避難しています。この紙袋の中の物を必要な人に必要な分だけ配る手伝いを頼まれました。どうしますか?」

小学校5〜6年男子向けのワークショップで使った生理用品

 昨年七月、東京都内の小学校で五〜六年男子約七十人を対象に行った講座。八班に分け、生理用品入りの紙袋を渡した。中身は班ごとに違い、ナプキン一袋、タンポン一箱、月経カップ一つのどれかが入っている。一一年の東日本大震災や一六年の熊本地震の避難所で、支援物資の生理用品が適切に配布されなかったこともあり、企画したという。
 男子たちは生理用品の説明書を手がかりに考える。「何でも聞いて」との二人の呼び掛けに、徐々に質問が出始める。「一個いくらするの」「タンポンを入れると痛くないの」「月経カップは再利用できるの」
 ナプキンを手にしたある班は「五時間に一度交換するとすれば一日五個必要。生理は五〜七日間続くとして必要なのは二十五〜三十五個」と計算した。男子からは「一回の生理でこんなに必要なんだ」「結構お金がかかるね」と驚きの声が上がった。
 みさとさんは「ナプキン交換の頻度は二〜三時間に一回がいいとされるが、大切なのは正解を出すことじゃない。分からないことは聞き、一生懸命考えて悩むこと」と話す。
 教育現場では、子どもたちが生理を学ぶ機会は限られている。小学校では初経や精通を、中学校では排卵の仕組みなどを各二時間かけて学ぶが、体の仕組みの話が中心。生理用品の使い方や生理痛などのケアについては、女子のみに教える学校が大多数だ。
 たかおさんは「実態を知らないせいで男子が『生理=エロいこと』と誤って結びつけたり冷やかしたりすることで、つらい思いをする女子もいる」と指摘。学ぶ機会が乏しかった男性の中には、「排尿・排便のように生理もタイミングをコントロールできる」「セックスをすると初経が来る」などと誤った認識を持つ人もいるという。
 では、どうしたらよいのか。みさとさんは「本当は家庭で小さい頃から、トイレやお風呂で話していくとよい」。ただ、親子関係や家族構成にも左右されるので、最低限の知識を学校で教える時間を設けることが必要という。
 おすすめは役割を決めて演じる「ロールプレーイング」。例えば「白い服に赤い血が付いている子がいる。どうする?」と設定し、班内で本人役や周りの子役を割り振り対応を考えてもらう。たかおさんは「男女の立場を変えて演じれば、相手の気持ちに配慮するきっかけにもなる」と話す。

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