持続化給付金の不正申請も…重大性に気付き「金を返したい」 消費生活センターに相談173件

2020年10月6日 10時27分
国の持続化給付金申請サイト

国の持続化給付金申請サイト

  • 国の持続化給付金申請サイト
 新型コロナウイルス対策で個人事業主に最大100万円を支給する国の持続化給付金を巡り、全国の消費生活センターに不正な申請をした人や関係者が「金を返したい」などと相談するケースが相次ぎ、9月末までに少なくとも173件に上ったことが、共同通信の取材で分かった。年代が判明した事例のうち大半が10~20代の若者で、安易に関わった後、報道などを通じて重大性に気付いた結果とみられる。
 悪質なケースは警察に摘発されたり、返還額が2割増しになったりするため、消費者庁の担当者は「関与してしまった場合は、正直に中小企業庁のコールセンターに申し出るなどして、速やかに返金手続きをしてほしい」と呼び掛けている。
 持続化給付金はインターネット上の簡素な手続きで申請ができるが、不正受給の多さが問題となっている。給付金を所管する中小企業庁や警察、弁護士などに相談するケースもあり、実際の不正の数は、消費生活センターへの相談件数より膨大とみられる。
 国は返金を受け入れるが、不正の自己申告がなく、国の調査で発覚した受給者には2割増しの額の返還を求める。173件のうち100件が受給済みで、明確な意思を示した69件を含め、ほとんどが返金を念頭に置いた相談だった。
 不正な申請に至るまでの経緯は「友人・知人に勧誘され安易に乗ってしまった」「SNS(会員制交流サイト)で案内された」などといった事例が目立つ。「不正受給に関する報道を見て詐欺と気付いた」として本人が相談する場合の他、家に届いた給付通知書などを見つけた親が、本人に代わり相談するパターンも多い。「ニュースを見て怖くなった」「これは犯罪に当たるのか」との内容も複数あった。
 年代別だと、不詳や非開示を除く107件のうち、20代が70件で最多。続けて10代が15件、30代10件などの順だった。
 都道府県と政令指定都市の各センターに取材した。北陸3県と神奈川、愛知、愛媛の計6県、横浜、静岡などの一部政令市は非開示。市区町の数値を含む都府県もある。(共同)

◆摘発相次ぐ…大学生、暴力団員逮捕も

 国の持続化給付金を巡っては、全国で不正受給の摘発が相次いでいる。逮捕者は会計業務に精通した会社役員や暴力団組員、野球部所属の大学生など多様で、組織ぐるみの関与もみられる。
 個人事業主を装い100万円をだまし取ったとして、7月に山梨県警が詐欺容疑で男子大学生(20)を逮捕したのが皮切り。8月には愛知県警が、事業収入が前年の半分以下になったとする虚偽の申請で不正受給したとして男3人を逮捕した。
 会計に詳しい会社役員の男(41)がうその確定申告書の作成を担うなど、役割分担して大学生やフリーターら約400人の不正申請に関わったとされる。不正受給額は約4億円に上る可能性も。「税理士がいるから大丈夫」などと持ち掛け、申請者が得た給付金の3分の1程度を手数料として回収していたようだ。
 支給対象ではない暴力団の収入源になっている可能性もある。大阪府警は9月17日、100万円を不正受給したとして、指定暴力団酒梅組の組員(54)を逮捕。組員は飲食店を経営していたが、暴力団員ではないと偽って申請したとされる。
 29日には愛知県警が会員制交流サイト(SNS)を通じ知人らに不正を指南していたとみられる愛知大(名古屋市)の学生2人を逮捕。うち1人は同大野球部の投手として活躍、プロ野球チームからも注目されていた。(共同)

◆相談は氷山の一角

 ▽中央大法科大学院の酒井克彦教授(租税法)の話 消費生活センターに寄せられた相談は氷山の一角で、実際ははるかに多いだろう。反社会的で悪質な行為だと自覚し、申し出るべきだ。不正の手口は極めて稚拙。中小企業庁の給付を急ぐ姿勢は理解できるが、担当者が確認の電話をするなどの一手間で相当数は防げたはずだ。国や警察は不正受給者を洗い出し、指南役らも徹底的に取り締まってもらいたい。彼らに成功体験を与えれば、ほかの給付金事業でにらみが利かなくなる。

 ◇持続化給付金 新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ個人事業主や中小企業を政府が支援する制度。5月に申請受け付けを開始した。1カ月の収入が前年同月比で5割以上落ち込んだ場合、個人事業主に最大100万円、中小企業に最大200万円を支給する。専用ホームページで申請できるが、簡素さを悪用した不正受給が問題となっている。

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧