どうなる 巨大IT課税 ルールや規制 追いつかず

2019年6月7日 02時00分
 世界中で事業活動を展開するIT企業が、利用者の多い国にあまり税金を納めていないことが問題になっています。8日に開幕するG20では、各国が適切に課税できる方策を話し合う見通しです。議論の焦点をまとめました。 (渥美龍太)
 Q 巨大IT企業の税負担は軽いのですか。
 A 欧州委員会の調査では、デジタル関連企業の税負担率は9・5%と、一般企業の23・2%の半分以下です。原因の一つは、国際課税のルールがデジタル経済の進展に追いついていないことです。
 Q どこが「時代遅れ」なのですか。
 A 今は、ある国で事業を行う海外の企業に対して、支店や工場といった「拠点」の存在を根拠に課税するという取り決めになっています。でも、IT企業の場合はインターネット経由で音楽を配信するなど、必ずしも消費者のいる国に「拠点」を置くわけではありません。その結果、莫大(ばくだい)な利益を上げても税金を納める必要はないということになります。
 Q どんな対策が考えられているのですか。
 A 「拠点」ではなく、「利用」に応じて課税する案が浮上しています。国内のユーザーが検索エンジンを使った回数や、会員制交流サイト(SNS)に投稿したメッセージの多さなどを基準にするイメージです。ほかにも、企業の知名度といった「ブランド力」の資産価値に着目する案もあります。
 Q IT企業が法人税が低い国に利益を移せば、元も子もないのでは。
 A タックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれる国などにつくった子会社を使い、企業が不当な「節税目的」で利益を移すことは既に禁じられていますが、違反を証明するのは難しいのが実情です。そのため、新たに各国共通の最低税率を設け、「抜け道」をふさぐことが検討される予定です。具体的な水準は決まっていませんが、法人税引き下げ競争を食い止める効果も期待されています。
 Q 話し合いはまとまりそうですか。
 A 簡単ではありません。各国の税収の増減に直結することもあり、巨大IT企業を抱える米国や中国と、それ以外の国で利害が対立するのは当然です。財務相・中銀総裁会議では、来年末までの最終合意を目指すことを確認するにとどまりそうです。

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