景気拡大揺るがす統計不正 発覚後も18年賃金過大伸び率公表

2019年1月30日 02時00分
 政府は二十九日に景気拡大が戦後最長になった可能性を公表しましたが、裏腹に景気の実感に直結する賃金統計の信頼が揺らいでいます。要因の一つに、厚生労働省が毎月勤労統計の不正が発覚した後も、実態より過大な二〇一八年の賃金伸び率を公表し続けていることがあります。問題点を整理しました。 (渥美龍太)
 Q 一八年の賃金伸び率がおかしいのですか。
 A はい。野党やエコノミストらが「賃金の伸び率を政府が良く見せようとしているのではないか」と疑っているのがこの年です。厚労省は二十三日、一二~一八年の賃金伸び率が正しい値に近づくように再集計しましたが、一八年だけは今も公表の数値が明らかに過大です。
 Q どういうことですか。
 A 一八年は不正の影響以外に算出の基準を変更したという別の要因があり、再集計値を額面通りには受け止められないからです。例えば、ボーナスなどを含めた一八年六月の現金給与総額は、二十一年ぶりの伸びといわれた前年同月比3・3%増を再集計によって2・8%増に下方修正しました。しかしこの2・8%も実態を示していません。
 Q なぜですか。
 A 厚労省は一八年に賃金の算出基準を伸びやすくなるように変えたのに、変更前の一七年の賃金とそのまま比較しているからです。
 Q 基準を変えれば伸びるのは当たり前だと。
 A そうです。政府統計を統括する統計委員会は昨年九月の段階で、一八年分の正式の賃金伸び率は実態を表していないと認め、基準をそろえた値を見るべきだと指摘しました。基準をそろえると六月は1・4%増、最近の推移でも大きな伸びではありません。
 Q 情報発信のやり方がおかしいのですか。
 A はい。厚労省は二十九日の野党ヒアリングで、伸び率は1・4%を見るべきだとようやく認めました。しかし、発表資料の中では2・8%を正式な公表値とし、1・4%を「参考」などとしています。厚労省は偽装の疑いをかけられている以上、基準変更の「からくり」を丁寧に説明する必要があります。

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