<ねぇねぇちょっと 特別編>姑介護 八方ふさがり 費用の壁 切実な声次々 「周囲に話し助け求めて」

2020年10月7日 07時06分

介護について切実な悩みをつづった女性の相談(手前(左))に、同様の体験談や応援メッセージが多数寄せられた

 読者の悩みに読者がアドバイスするコーナー「ねえねえちょっと」(毎週土曜日掲載)に、認知症の義母の介護に疲れ、施設に入所させたいが、お金もなく「八方ふさがり」と悩む岐阜県の女性(57)の相談(七月四日)を紹介したところ、同様の切実な体験談が多く寄せられた。専門家は、介護費用を補うための貸付金制度の活用などを呼び掛ける。 (細川暁子)
 相談を寄せた「森の熊さん」は認知症で要介護4の義母を約十年、自宅で介護。デイサービスを週三回、ショートステイを月一回利用し、何とか続けてきたが、夜中に歩き回るなど義母の症状が悪化。特別養護老人ホームに入所を考えたが、ケアマネジャーに相談すると、「月に八万円ほど必要」と言われ断念した。
 義母は貯蓄がなく、国民年金は月に三万円ほど。定年後の再雇用で働く夫(61)の収入は月に十七万円ほどで、「施設に預ける余裕はない」と嘆く。夫は介護に協力的だが、夫の弟二人は、「介護は長男が行うもの」と言い、関わろうとしない。女性は「自分が倒れてしまいそう」という。
 投稿を読み、「ひとごととは思えなかった」という滋賀県の女性(57)は、認知症の父が八月に八十一歳で亡くなるまで約六年間、自宅で介護。生前父は、車で出かけようとするなど目が離せず、二月ごろに女性は限界を感じた。
 父の国民年金は月六万円ほどで、貯金はゼロ。特養に申し込んだが「入所は百人待ち」と言われた。わらにもすがる思いでインターネットで調べた認知症専門病院の相談窓口に電話。偶然空きがあり、父は入院できた。所得に応じて医療費の上限が決まる高額療養費制度のおかげで、費用は月六万円程度で済んだ。
 父は入院から約半年後、老衰で亡くなったが、女性は「あのまま在宅介護をしていたら、私がうつになっていた」と指摘。市町村の介護保険の相談窓口や病院、親戚などを念頭に、「金銭的に苦しいことを周囲に打ち明け、助けを求めて」と助言する。
 愛知県の女性(66)も、要介護5で認知症の母(90)の介護費用に頭を抱える。二年半前に三カ所の特養に申し込んだが、空きがなくて入所できず、七月からはデイサービスや長期の宿泊などを組み合わせた小規模多機能型施設に母を預け始めた。宿泊費や食事代などで毎月十五万円以上の費用がかかる。「親の介護でこれだけお金がかかることが分かり、自分の将来が不安」とため息をつく。

◆持ち家担保に資金調達 金融機関や社協など取り扱い

 介護費用が足りない場合の資金調達方法として、ファイナンシャルプランナーの村井英一さん(55)=東京都中央区=は、持ち家を担保に老後資金を借り死後に物件を売却して返済する「リバースモーゲージ」を選択肢の一つに挙げる。
 銀行などの金融機関や都道府県の社会福祉協議会が扱っており、多くが五十五歳または六十歳以上が対象。契約者は自宅を担保に融資を受けて金利を払い、存命中は自宅に住み続けることができる。受けられる融資の限度額は評価額の五〜九割程度。ただし原則、契約者の死後に担保物件の家は売却されるため、子どもが将来その家に住む場合には利用できない。
 ほかに、介護サービスが必要な高齢者らを対象にした社協の生活福祉資金貸付制度もある。社協によって内容や条件は異なるが、貸付利子の利率は、連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立てない場合も年1・5%で借りることが可能だ。貸し付け上限は二百三十万円(一年未満の場合は百七十万円)。村井さんは、「介護はいつ始まり、いつ終わるか分からず、予想外に費用がかかることがある。計画的に介護資金の準備を」と呼び掛ける。

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