都議会政活費7億2600万円 ほぼ使い切り 広報紙費50%に迫る

2020年10月8日 05時50分
 東京都議会は7日、2019年度分の政務活動費(政活費)の収支状況を公表した。交付総額7億4500万円のうち支出額は7億2600万円で、執行率は97.4%とほぼ使い切った。執行率は過去5年で最高。

◆広報誌3億4500万円、47%占める

 主な使途は、議員や会派活動の広報紙発行が3億4500万円で47.6%を占め、秘書やスタッフの人件費が2億4900万円で34.3%。小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党の都民ファーストの会は広報紙発行費比率が60.4%で1億8100万円に達した。

議員名や顔写真が大きく掲載された都議の広報紙(一部画像処理)

 都議会政活費は都議1人あたり月額50万円、17年度に飲食を伴う会合などの会費の支出や、生計を一にする親族所有の物件への事務所費支出を禁止するなどしたことで、同年度は支出全体が減少し、執行率は85.4%まで下がった。18年度は広報費や人件費への支出が増えて執行率は93.5%に上昇。19年度も同様の傾向が続いた。(原昌志)

◆5年連続伸びる広報紙発行費、選挙ビラ見まがうスタイルも

 7日公開された東京都議会の2019年度政務活動費の収支状況で、支出全体に占める広報紙発行費の割合が5年連続で伸び、5割近い47.6%(3億4566万円)に達した。会派としての活動報告のほか、議員個人名を前面に出し、選挙ビラと見まがうスタイルも少なくない。来夏に都議選を控え、広報紙支出がさらに加速する可能性も。専門家からは「必要性を検証するべきだ」との声が上がる。
 「○○(議員名)通信」「都議会議員(○○区選出)」―。議員の顔写真や名前を大きく打ち出し、自身の活動や都政への決意をうたうレイアウト。A4~B4サイズが多い。新型コロナウイルス感染症対策への取り組みや、議会質疑の発言など都政報告を工夫して盛り込んでいるが、目立つのは議員の名前や写真だ。
 政活費による広報紙への支出は「都民に対する広報・広聴活動」として認められている。都政に関連した内容で、意見を募るための連絡先を記載するなど要件を満たせば、発行や配布費用の全額を賄える。原資は税金。世論の目が厳しい中、飲食を伴う会合の会費を禁止してきた一方、広報紙発行費は増加傾向。金額は15年度の2億8396万円から19年度は6000万円以上増えた。
 都民ファーストの会のある都議は、今年3月に19万枚の作成・印刷費に114万7000円を支出し、配布に約100万円をかけた。また自民都議は同年12月に約4万枚の作成や配布で130万9000円を計上。共産都議は今年2月分に作成費3万8000円を盛り込んでいた。ある都議によると「作成から配布まで1回あたり250万円はかかることもある」という。

政務活動費全体の5割近くを占めている広報誌発行費。来夏の都議選を控え、さらに増える可能性も指摘されている(一部画像処理)

 都議会局などによると、政活費による広報紙は、個人の宣伝との線引きが各地で問題化し、訴訟で不当支出とされた例が複数ある。このため都議会は議員名と写真の大きさを、紙面の4分の1までとする目安を設けている。09年9月に名古屋高裁で3分の1の大きさが不当とされ、10年10月に東京高裁で5分の1までは適切とされた判例を基にしているという。(原昌志、岡本太)

◆「誰が発行…知ってもらう」「名前、顔入っているからこそ」

 議員名や顔写真が一番目立つ広報紙の作り方について、多くの都議は「誰が発行したのか知ってもらうことは重要」と口をそろえる。
 「見た人から都政への意見が寄せられることは少なくない。名前や顔を認識してもらえるメリットだ」。都民ファーストの会の都議の1人はこう強調。別の自民都議は「名前や顔が入っているからこそ、読んでもらいやすくなる」と語る。
 一方、ある会派の関係者は「私はこれだけやってますというアピールになっているのも事実。中には選挙目的と言われても仕方ないものもある」と漏らした。

◆「明らかに選挙目的と感じる内容も」

 全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長の話 広報紙の多くは、名前が必要以上に大きく掲載され、明らかに選挙目的と感じる内容だ。そもそも顔写真はいらない。政治活動との線引きが難しいことから、苦肉の策として大きさで判断しているだけで、4分の1以下なら問題がないということではない。都民にどれだけ都政の内容を伝えられているのかを含めて、検証が必要だ。

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