東京五輪の簡素化、ふたを開けると…腰砕け

2020年10月8日 06時00分

国立競技場(上)と東京体育館

◆「見直しの余地少ない」

 東京五輪・パラリンピックの開催経費約300億円の削減を発表した大会組織委員会。簡素化によって、大会の新たな運営方法の指標となるような「東京モデル」を目指していたが、削減額は予算の2%にとどまり腰砕けとなった。
 「単なる経費の削減ではなく、新しい大会の概念となる東京モデルをつくる」。組織委の武藤敏郎事務総長は先月25日、会見でこう豪語していた。予算が肥大化し、開催都市の財政を圧迫してきた過去の大会からの「変革」を感じさせる意気込みだった。
 しかし、ふたを開けてみれば、削減は全体の2%。陣頭指揮をとった中村英正スポーツ局長は「延期が決まった3月は、準備が最終段階だった。契約を含めて見直す余地が少なかった」と明かした。例えば、金額の大きい会場整備費(8230億円)の大部分は建設工事などで、既に支出済みだった。

◆接待の廃止には至らず

 さらに延期決定前、安倍晋三首相(当時)が「新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、完全な形で実施したい」と求め、選手数と競技・種目数は維持。このため輸送(710億円)や警備(850億円)オペレーション(1330億円)などの見直しも限定的になった。
 そこで切り込んだのは「オリンピックファミリー」と呼ばれる国際オリンピック委員会(IOC)や各競技団体の役員約5万人向けの予算。高級ホテルに泊まり、競技会場のラウンジで飲食接待を受ける人数を10~15%減らした。ただ、中身はラウンジ装飾の削減、飲食メニュー簡素化などにとどまり、接待の廃止には至らなかった。

◆識者「簡素化に当たらず」

 バルセロナ五輪の陸上代表で、法政大の杉本龍勇教授(スポーツ経済学)は「300億円は『簡素化』と言うには当たらない。小手先の見直しにとどまり、逆に過剰接待がばれてしまった」と批判した。
 会場整備や選手の輸送などが予算増の要因で、「選手や種目を減らさないと、抜本的な簡素化はできない」と指摘。「削減額や追加予算額を精査しないまま、1年延期を決めた順序に問題があったのではないか」と話した。(原田遼)

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