「沖縄振興策」「基地」リンク論ちらり 首相就任後、玉城知事と初会談

2020年10月8日 05時50分
 菅義偉首相は7日、沖縄県の玉城デニー知事と、首相就任後初めて官邸で会談した。玉城氏は、中止を訴える米軍普天間ふてんま飛行場(沖縄県宜野湾ぎのわん市)の移設に伴う名護市辺野古へのこの新基地建設について、対話による解決を求めた。首相は話し合いには応じる構えを見せたが、基地建設推進の強硬姿勢を継続する方針。政権側は沖縄関係予算を通じて、基地問題への協力を引き出そうとする「リンク論」もちらつかせる。(村上一樹)

◆変わらぬ首相の姿勢、沖縄に譲歩せず

 「普天間の1日も早い危険性の除去は喫緊の課題。辺野古移設とは別にやっていただきたい。対話で協議させていただきたい」
 玉城氏は首相との会談でこう訴えた。首相は新基地問題に直接言及せず、沖縄振興に関し「引き続き連携して取り組んでいきたい」と応じた。玉城氏は、首相の後任で沖縄基地負担軽減担当も引き継いだ加藤勝信官房長官らとも会談した。
 だが、首相の基本姿勢は変わらない。第2次安倍政権では、県民投票などで繰り返し示された辺野古反対の地元民意に対し、新基地の埋め立て工事を牽引けんいん役として進めた。安倍政権の継承を掲げる菅政権に、対沖縄で譲歩する気配はない。

◆基地と振興「結果的にリンクする」

 岸信夫防衛相は就任後に「辺野古移設が唯一の解決策」と従来の立場を強調。加藤氏は7日の記者会見で「辺野古移設を着実に進め、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現したい」と語った。
 リンク論を巡っては、沖縄の振興策を担当する河野太郎沖縄北方担当相が就任後に沖縄を訪問した際「基地のことも考えた上で、いかに経済を発展させるかが重要だ」と「ひっくるめ論」を展開。首相は就任後、沖縄に関する目立った発信をしていないが、9月3日の官房長官としての会見で、基地と振興は「結果的にリンクする」と明言している。
 リンク論、ひっくるめ論は、地元から見れば、金と引き換えに基地容認を求めてくる「アメとムチ」の手法に映る。玉城氏は10月7日、首相との会談後に「振興予算と基地問題がリンクすることはあってはならない」と記者団に強調した。

◆地元の協力姿勢に応じ予算を増減

 玉城氏が警戒感を強めるのは、基地問題に対する地元の協力姿勢に応じ、沖縄関係予算が増減している現実があるためだ。2013年末に当時の仲井真弘多知事が辺野古埋め立てを承認したことを受け、安倍晋三前首相は21年度まで毎年度3000億円台を維持すると確約。14年度には3501億円を計上した。
 だが、14年の知事選で仲井真氏を破った新基地反対派の故翁長雄志氏が就任すると、15年度から減少に転じた。18~20年度予算の概算要求額は、いずれも3190億円だったのに対し、決定された当初予算額は3年連続で下限すれすれの3010億円。9月末に示された21年度の概算要求額は、過去3年を下回る3106億円で、県側は当初予算も減額されるのではないかと身構える。
 玉城氏は首相に対し「引き続き沖縄振興に尽力たまわりたい」と要請したが、会談は10分足らずで終わった。

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