「殺人の承諾なかった」 被告が弁護側の質問拒否し語る<座間事件公判>

2020年10月8日 05時50分
 神奈川県座間市で2017年、男女9人を殺害し、遺体を損壊、遺棄したとして、強盗強制性交殺人罪などに問われた無職白石隆浩被告(29)の裁判員裁判第4回公判が7日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。初の被告人質問で白石被告は、被害者の承諾に基づく同意殺人罪を主張する弁護側の質問を全て拒否し、検察側の質問に「殺人の承諾はなかった」と明言。審理を見守る遺族は、被告への厳しい処罰感情を口にした。(沢田千秋)

◆弁護側質問に「答えるつもりはありません」

9人の切断遺体が見つかった神奈川県座間市のアパート=2017年

 白石被告と弁護団との主張の食い違いは、被告による弁護側の質問拒否という異例の事態をもたらした。弁護人から「逮捕から3年がたち、被告は早く裁判を進めてほしいと言っていた」「今の心境は」と尋ねられたが、被告は「(弁護側の質問に)答えるつもりはありません」と声を張り、回答を拒否した。理由は示されなかった。
 検察側の質問には、丁寧な口調で理路整然と応対。「金と性欲が一連の事件の動機か」「すべての事件で、殺人の承諾はなかったか」と聞かれ、「はい、間違いありません」と答えた。
 被告は「父親とうまくいかず、実家を出たかった。女性のヒモになり、家に転がりこんで養ってもらうか、定期的に金を引っ張ろうと思った」として、ツイッターで「疲れた」「死にたい」「さみしい」というハッシュタグを使い、女性を物色。理由を「私の経験から、悩みがある女性の方が口説きやすい」と述べた。

◆被害女性に自ら同居提案、50万円預かる

 最初の被害者となった女性会社員=当時(21)=に、自ら同居を提案。「生き抜こう」などと話すうち、女性は被告に好意を抱き、前向きに見えたという。しかし、引っ越し準備のため、女性から約50万円を預かった後、殺害を決意する。
 17年8月23日夜、新居で女性の首を絞めた。被告は女性が「殺してくれ」や「自殺したい」とは言わなかったと述べ、「女性は、首を絞めている私の手をどかそうと、5分ぐらい抵抗していた」と話した。
 遺体の具体的な解体方法に質問が及ぶと、生々しいやりとりに遮蔽しゃへい板の向こうの遺族席から退廷者が出て、審理は一時中断した。

◆「継続的に金を奪おうと思った」

 被告は「解体中、頭痛や吐き気があったが、やらなければ捕まるという思いで一心にやった」と発言。「継続的に女性を呼び込み、レイプし、金を奪おうと思った」とし、最初の事件後、「50万円と部屋が手に入り、いざ殺人と損壊をしたら意外とうまくいって、次もやれる自信があった」と話した。

◆「同じ方法でこの世からいなくなって」遺族が証言

 7日の公判では被告人質問に先立ち、遺族が初めて証言した。最初に殺害された神奈川県の女性会社員=当時(21)=の母親は、白石被告に対し「この世の中からいなくなってほしい。娘が受けたことと同じことを受けてもらいたい」と、言葉が不明瞭になるほど声を震わせた。
 被害者全員が匿名で審理される中、証言台についた母親の姿は傍聴席から遮られ、白石被告との間にも遮蔽板が置かれた。
 母親は生前の女性を「責任感が強くて心優しい。他人のことも私のことも思いやってくれた」と回想。「死にたい」と日記に残すこともあったが、母親は「何年も前から、そうやって自分の精神のバランスをとってきた。自己防衛だった」と理解していた。
 17年8月、女性と連絡がとれなくなってから、母親は女性の自室で失踪宣告書を発見。被告の指示で作成されたものだったが、母親は「自殺はしないと書いてあったし、1人でやってみたいのかなと思っていた」「娘はパソコンの資格を取るため教材を申し込んでいた。生きようと思っていた」と涙声で語った。

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