プルトニウムなぜ削減? 米に配慮も実現めど立たず

2018年7月4日 02時00分
 政府は3日に閣議決定したエネルギー基本計画で、保有するプルトニウムの削減を掲げました。なぜプルトニウムがたまるのか、本当に減らせるのか。考えてみました。 (吉田通夫)
 Q そもそも「プルトニウム」とは。
 A 強い放射線を出す核物質の一つです。ウランは天然の鉱石ですが、プルトニウムは自然界にほとんど存在しません。原発でウラン燃料を使うことで、核反応によりプルトニウムが生まれます。ウランよりも放射線が強く、扱いも難しいとされます。
 Q なぜ日本はプルトニウムを保有しているのですか。
 A 日本政府は「資源の有効活用」として、すべての使い終わったウラン燃料からプルトニウムを回収し、ウランと混ぜた混合酸化物(MOX=モックス)燃料にして原発で再利用する計画です。使い終わった燃料から回収したプルトニウムは現在、約四十七トンあります。日本では回収するための工場ができておらず、ほとんどは英仏両国に取り出してもらいました。
 Q 米国は、日本の保有をよく思っていないようですね。
 A プルトニウムは大きなエネルギーと強い放射線を発するので、危険な核兵器の材料になります。長崎市に落とされた原子爆弾「ファットマン」にも使われました。日本の保有量は、原爆六千発分とも言われます。警戒する北朝鮮が核開発を続ける理由にもなってしまうので、米国は削減を求めてきました。
 Q どうすれば減らせるのでしょうか。
 A エネルギー基本計画では、これまで通りMOX燃料にして使う方策を示しました。しかしMOX燃料は出力の制御が難しく、利用できる原子炉が現在三十五基のうち四基に限られるうえ、少しずつしか使えません。また、プルトニウムを大量に消費できるとされる高速炉の開発も掲げていますが、研究のための「もんじゅ」が失敗に終わり、実現のめどは立っていません。必要な費用も見通せない状態です。
 それでも政府と大手電力会社は原発を動かして使用済み燃料からプルトニウムを回収する方針なので、このままでは減らすどころか増えてしまう恐れがあります。政府の方針は破綻しているのだから、計画を見直してプルトニウムの回収をやめるべきだと指摘する専門家もいます。

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