日韓往来再開 合意重ねて信頼回復を

2020年10月8日 07時23分
 コロナ禍の中、隣国との門が少し広がった。日本と韓国は今日から水際対策を緩和しビジネス目的の往来を再開する。この成果を、徴用工問題をはじめとする両国間にある課題の解決につなげたい。
 対象は出張などの短期と駐在員を含む長期だ。この両方で往来が実現するのは、日本ではシンガポールに続いて二カ国目となる。
 短期の場合は、入国時に新型コロナの陰性証明と活動計画を提出すれば、十四日間の隔離が免除となる。入国直後から経済活動が可能となるため、効果が期待されている。
 日本政府観光局の統計によれば、韓国からの訪日客数は二〇一九年には約五百五十八万人だった。中国に次ぐ二番目の多さで、うちビジネス目的の入国は約三十一万人を占めていた。
 日韓合計で実に年間一千万人を超えていた人的交流は、新型コロナウイルスの感染拡大により、約七カ月間ほぼ途絶えていた。ビジネス目的に限定されたものとはいえ、再開実現は朗報だ。
 もちろん慎重に進めなければならないものの、観光目的の入国についても水際対策が緩和されていけば、日本国内の観光業にとって大きな助けとなるだろう。
 一方、両国間には難題が多い。まずは、韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決と、これに対する日本の対韓輸出規制問題だ。
 判決に従い、韓国で差し押さえられた日本企業の資産売却手続きも進んでいる。この問題に関して、日本と韓国の立場の差は埋まっておらず、平行線のままだ。
 今回の往来再開は、あくまで経済回復が目的だろう。しかし、両国とも局面打開の糸口として期待をかけているのは間違いない。
 先月二十四日に行われた日韓首脳の電話会談で基本的に合意してから、時間を置かずに実現したことからも分かる。
 茂木敏充外相は、今回の措置を発表する際、韓国をわざわざ「極めて重要な隣国」と呼び、「厳しい状況だからこそ国民の交流が大切だ」と強調してみせた。
 菅義偉首相は、日本人拉致問題の解決に意欲を示し、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との対話の機会を探っている。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、その正恩氏と直接対話してきた仲だ。韓国の協力も必要になるはずだ。
 まずは今回のような小さな合意を積み重ね、当局間の信頼を深めていくことが大切だ。

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