「アベノマスクは失敗。一部の暴走」新型コロナ対応、民間臨調が検証

2020年10月8日 22時15分

日本記者クラブで検証結果を振り返る小林喜光委員長(中)ら

 政府の新型コロナウイルス対策を検証した民間グループの「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(コロナ民間臨調)が8日、安倍晋三前首相や閣僚、専門家ら83人に聞き取った報告書を発表した。「泥縄だったけど、結果オーライ」という首相官邸スタッフの発言や、厚生労働省がPCR検査の拡大を抑えようとしていた実態を明らかにした。報告書は同日、菅義偉首相に手渡した。(井上靖史)

◆厚労省はPCR検査の拡大を抑えようとしていた

 検証は、福島第一原発事故を検証した民間団体が母体のシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」が企画。小林喜光委員長(三菱ケミカルホールディングス会長)ら4人の委員を中心に聞き取りした。官僚は匿名を条件にし、小池百合子東京都知事からは話を聞けなかった。
 感染拡大は3月中旬以降の欧州からの流入が一因とされる。報告書では、官邸スタッフが「(直前の)全国一律の一斉休校要請に対する世論の反発で消耗していたこともあり、十分な指導力を発揮できなかった」「それが一番悔やまれる」と証言。全戸配布した「アベノマスク」について、官邸スタッフは「あれは失敗。総理室の一部が突っ走った」とした。
 PCR検査の拡大を巡っては厚労省が5月、検査に一定程度は誤判定が出るとして、内部資料を作ってひそかに官邸や有力国会議員に「広範な検査の実施は問題がある」と説明に回っていたと明らかにし、内部資料も報告書に添付した。

◆「備えの甘さが政策の選択を狭めた」と総括

 安倍前首相は4月の緊急事態宣言の発出が「一番難しい決断だった」と答えた。政府でも菅官房長官(当時)らが経済への配慮から宣言に慎重な見方をしていたとしている。西村康稔経済再生担当相は、小池知事が3月下旬に「ロックダウン(都市封鎖)」に言及して食品買い占めなどが起きたことから、パニックを恐れて「宣言が遅れた部分があった」と証言した。
 報告書は最後に、欧米と比べ少ない死者数から「泥縄だったけど、結果オーライ」とする官邸スタッフの受け止めを紹介。「検査体制の少なさをはじめとした備えの甘さが政策の選択を狭めた」などと総括した。
 報告書は446ページの冊子にまとめ、今月後半から販売する。税抜き2500円。問い合わせはディスカヴァー・トゥエンティワン。(井上靖史)

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧