<ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編>(14)当初から不足汚 染水タンク

2020年10月9日 08時02分

汚染水処理で使うタンクはたちまち不足気味になった=東京電力提供

 原子炉の暴走はほぼ収まったが、東京電力福島第一原発(イチエフ)の現場は高濃度汚染水の対応に追われた。
 注水された水は、溶け落ちた核燃料に触れて汚染水となり、炉の損傷部から建屋地下へ漏出。日々の注水で汚染水は増え続け、建屋地下が満杯になると注水できなくなる。
 そこで作られたのが一周五キロに及ぶ循環式の冷却システム。いったん近くの建屋地下に汚染水を一時貯蔵。放射性セシウムの除去装置に通し、一部は冷却水に再利用し、残りはタンクに貯蔵する。
 「循環冷却が稼働すれば、現在四メートルほどある汚染水の水位は、秋ごろには数十センチまで下がる」。汚染水処理が始まった二〇一一年六月、会見で東電幹部はこう強調した。
 しかし、当ては外れた。1〜4号機の建屋地下には配管などの貫通部から大量の地下水が流入し、損傷した屋根から雨水も注ぎ込む。たちまち当初用意した円筒形と箱型のタンクでは足りなくなった。
 汚染水を一時貯蔵する建屋の防水工事などを担当したベテラン作業員のハッピーさん(通称)は「暗闇や高線量、地下で酸欠に気をつけながらの作業だった。各建屋の水があふれるリミットが時限爆弾のように日々設定され、心身ともに限界を超えた闘いだった」と振り返った。そして敷地内の木は伐採され、タンク用地へと変貌していった。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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