故大林宣彦監督の未発表作品が見つかる オンラインで開催される京都国映画祭で上映へ

2020年10月9日 11時00分
  4月に死去した大林宣彦監督の未発表短編作品が見つかり、今月15~18日にオンラインで開催される京都国際映画祭で上映されることが9日、分かった。大林監督が劇場用映画デビューする10年ほど前、実験映画を製作し、CMディレクターとして活躍していた時代の作品とみられ「映像の魔術師」の足跡をたどる上で貴重な資料といえる。

 短編作品「海外特派員 ある映像作家の場合」より(PSC提供=共同)

 表題は「海外特派員 ある映像作家の場合」で、16ミリフィルムで撮影された約13分の白黒作品。有名人は出ておらず、大林監督や妻でプロデューサーの恭子さん、娘の千茱萸ちぐみさん、監督の仲間が登場する。千茱萸さんが3、4歳の頃の姿が写っており、1967年ごろに撮られたとみられる。

大林宣彦監督(共同)

 同作は、憧れを持って来日した北欧のデザイナーの青年が一度は失望するが、情熱的な大林監督らと出会い、夢や希望を取り戻すという物語。
 京都国際映画祭の大林監督特集のプロデューサーを千茱萸さんが務めることになり、これまで上映されなかったような映像を探していると、事務所倉庫の棚に「謎の段ボール箱」を発見。16ミリフィルムのケースに入った同作が出てきたという。
 千茱萸さんは「近年の父の作風は『ドキュメンタリーで撮り、劇映画に仕上げる』と言われますが、半世紀前に既にその原型が完成していたことに驚かされた」と話す。
 一方、同作はどういう経緯で何の目的で撮影されたかは不明で、千茱萸さんらは広く情報を募っている。情報提供は映画祭の公式ツイッターやフェイスブックまで。
 大林監督特集は同映画際の開催期間中、公式サイトで視聴できる。他に、初披露となる映画「野のなななのか」のメーキング映像や、映画「四月の魚」「マヌケ先生」などが上映される。

 大林宣彦監督 1938年広島県尾道市生まれの映画監督。子どもの頃から8ミリフィルムに親しみ、60年代からCMディレクターとして活躍し、77年「HOUSE」で劇場用映画デビュー。80年代に故郷が舞台の「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」の“尾道3部作”がヒットし、青春期の揺れる心情を描いて人気を集めた。晩年は非戦、平和を希求する作品づくりに注力。遺作となった「海辺の映画館 キネマの玉手箱」が今年7月末に公開された。

(共同)

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