「手話通訳者も病院の仕事で感染リスク」 コロナ交付金の適用求める
2020年10月10日 06時00分
新型コロナウイルスの影響で収入が激減した手話通訳者が9日、東京都内で記者会見し、感染リスクを抱えた医療関係者らを対象とする国の支援金制度を、通訳者にも適用するよう求めた。イベントの自粛などで病院に通う聴覚障害者を手助けする仕事が大半になっているにもかかわらず、支援の対象外になっているためで「強い使命感で働いているのは医療関係者と同じ」と訴えている。
適用を求めている支援金制度は、厚生労働省が6月に創設した「新型コロナ感染症緊急包括支援交付金」。医療機関や障害者福祉施設の職員らを対象に、感染リスクの度合いに応じて、1人当たり5万円~20万円を1回に限り支援している。聴覚障害者の団体が8月、手話通訳者も制度の対象に含めるよう国に要望したが、実現していない。
◆自粛で依頼激減、収入が4割減
この日会見したのは、聴覚障害者に通訳者を派遣する横浜市の施設で働く伊藤明子さん(68)ら4人。外出やイベントの自粛により講演会や会議、役所手続きなどの通訳依頼が激減。仕事のほとんどが、病院に通う聴覚障害者の通訳になったという。
伊藤さんの場合、5月の収入が前年同月と比べて約4割減の4万7000円ほどに落ち込んだ。所属する労働組合「よこはまシティユニオン」を通じて、賃金の補償を雇用主と交渉中だ。「聴覚障害者が困るので依頼を断れず、感染の不安を抱えながら病院に行っている。心身に負担がかかる中、制度の対象外なのはおかしい」と話した。
厚労省の担当者は「手話通訳者は聴覚障害者と一定の距離を保つことができ、感染リスクは低い」と対象外の理由を語った。(山田晃史)
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